装う(読み)ヨソオウ

デジタル大辞泉 「装う」の意味・読み・例文・類語

よそお・う〔よそほふ〕【装う/粧う】

[動ワ五(ハ四)]《動詞「よそ(装)う」の未然形接尾語」の付いた「よそはふ」の音変化》
身なりや外観を整える。また、美しく飾る。「礼服に身を―・う」「店内を春向きに―・う」
表面や外観を飾って、他のものに見せかける。ふりをする。「平静を―・う」「病人を―・う」
支度をする。準備をする。
「魚えさはりに―・いつけた時であった」〈露伴・蘆声〉
[可能]よそおえる
[類語](1着飾るめかすよそめかし込む扮する洒落る洒落込むおめかしドレスアップ着るまとう着けるちゃくする着用する羽織る引っ掛ける身ごしらえする身仕舞いするはくかぶる着込む着こなす突っかける尊敬召す召される・お召しになる/(2見せ掛ける偽装する粉飾狂言カムフラージュ決め込む芝居を打つ

よそ・う〔よそふ〕【装う/粧う】

[動ワ五(ハ四)]
飲食物を器に盛る。よそる。「味噌汁を―・う」
よそおう2」に同じ。
「強いて嬉しげを―・うて」〈露伴・連環記〉
よそおう1」に同じ。
「君なくはぞ身―・はむくしげなる黄楊つげ小櫛も取らむとも思はず」〈・一七七七〉
よそおう3」に同じ。
難波津に―・ひ―・ひて今日の日や出でてまからむ見る母なしに」〈・四三三〇〉
[可能]よそえる
[類語]盛るそそ淹れる盛り付ける盛り込む盛り合わせる差す注ぎ込むぎ込む流し込む流れ込む注入注水注油

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「装う」の意味・読み・例文・類語

よそ・うよそふ【装・粧】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙
    1. 服装、用具などを整え身につける。身づくろいをする。身支度を整える。よそおう。
      1. [初出の実例]「君なくは何(な)ぞ身装餝(よそは)む匣(くしげ)なる黄楊(つげ)の小櫛も取らむとも思はず」(出典:万葉集(8C後)九・一七七七)
    2. 飾り整える。よそおう。
      1. (イ) 用具などを飾り整える。装飾をほどこす。飾る。
        1. [初出の実例]「大寺の南の庭(おほは)に於て、仏菩薩の像(みかた)を四天王の像とを厳(ヨソヒ)て」(出典:日本書紀(720)皇極元年七月(岩崎本訓))
      2. (ロ) 殿舎、座席などを整え設備する。しつらえる。
        1. [初出の実例]「吾が大君 皇子の御門を 神宮に 装束(よそひ)奉りて」(出典:万葉集(8C後)二・一九九)
        2. 「寝殿のすのこに御ましよそひて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)
    3. 船・車などを、出発や使用が可能なように飾り整える。出発の準備をする。
      1. [初出の実例]「難波律に余曾比(ヨソヒ)余曾比(ヨソヒ)て今日の日や出でてまからむ見る母なしに」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三三〇)
    4. 飲食物を整え、用意する。また、飲食物を器に整えて盛る。転じて、飲食物を器に盛る。
      1. [初出の実例]「おとど達興じ給て、『まづ此の粥すすりてん』とて、そへたる坏どもによそひて、皆参る」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
    5. よそおう(装)
      1. [初出の実例]「『さあ』とわざと考へるふうをよそって」(出典:苦の世界(1918‐21)〈宇野浩二〉四)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙
    1. [ 一 ]に同じ。
      1. [初出の実例]「色々に装そへたる指貫姿の御前(さき)共、十余人前に火を燃し次(つづ)きたり」(出典:今昔物語集(1120頃か)三一)
    2. [ 一 ]に同じ。
      1. [初出の実例]「みなみのひさしの、御ましよそへつるにしのかたに、御びゃうぶ・御几帳などたてさせ給て」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)

よそお・うよそほふ【装・粧】

  1. 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙 ( 動詞「よそう(装)」の未然形に継続・反復の接尾語「ふ」の付いた「よそはふ」が変化したもの )
  2. よそう(装)[ 一 ]
    1. [初出の実例]「ここに王公卿相、花の袂をよそほひ、玉のくつばみをならべ」(出典:平家物語(13C前)八)
  3. よそう(装)[ 一 ]
    1. [初出の実例]「大舟をよそほふて、南海をへて広州にとづく」(出典:正法眼蔵(1231‐53)行持下)
  4. 化粧を施す。また、美しく身なりを飾る。
    1. [初出の実例]「其気色、窅然(えうぜん)として美人の顔(かんばせ)を粧ふ」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)松島)
  5. 実際はそうでないのに、外見上はそのようなふりをする。いかにもそのように見せかける。よそう。
    1. [初出の実例]「但不識賢弟昔年因甚如此粧束(〈注〉ヨソヲフ)」(出典:小説奇言(1753)二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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