日本大百科全書(ニッポニカ) 「泥炭土」の意味・わかりやすい解説
泥炭土
でいたんど
bog soil
peat soil
湿原や低湿地の湿性植物(アシ、マコモ、ガマ、ハンノキなど)の遺体が分解されずに、植物組織を残したまま水底に蓄積されて泥炭となったのち、水位の低下あるいは泥土の流入により、泥炭層の上部が酸化分解による風化を受け始めると、泥炭を母材とする土壌の生成がおこる。泥炭土は、泥炭の分解がかなり進んで、植物組織が見分けられなくなった状態(黒泥とよぶ)にあるものが土壌化した黒泥土とともに、有機物含有率が高く(50%以上)、地表に近い部分まで過湿のグライ層位をもち、多くは強酸性である。高山の小起伏地と高緯度地方の低地に泥炭の堆積(たいせき)がおこるが、開発の可能な低地や低い台地では、排水管理や泥炭層の剥離(はくり)、あるいは無機質材料の客土などの土地改良工事が必要とされる。
[浅海重夫]