山川 世界史小辞典 改訂新版 「洪水伝説」の解説
洪水伝説(こうずいでんせつ)
Deluge Story
ほとんど全世界に流布する説話の型。その主要モチーフは人類の悪行に対する神の怒り,選ばれた少数者への神の忠告,大洪水の開始,少数者の救い(方船(はこぶね),山),神の祝福,その後の人類の繁栄などを含む。最古のものは『ギルガメシュ叙事詩』に含まれるウトナピシュティムの物語で,旧約聖書のノア伝説はこれにもとづく。ギリシアでは,プロメテウスの子デウカリオン,インドではマヌ,中国では禹(う)がそれぞれの洪水伝説の主人公である。その系統は三つか四つくらいに分けられ,全体の背景としては世界創造説話の原初的大洋が考えられる。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報