浄因寺(読み)じよういんじ

日本歴史地名大系 「浄因寺」の解説

浄因寺
じよういんじ

[現在地名]足利市月谷町

行道ぎようどう山中の大巌頭直下に位置する。行道山と号し、臨済宗妙心寺派。本尊は聖観音菩薩。和銅六年(七一三)に行基が開山し、伝来の仏舎利塔を納めたという伝承がある(行基菩薩行化年譜)。寺伝によれば、足利義兼に招来され鑁阿ばんな寺を開いた理真も参じたという。文安五年(一四四八)鎌倉建長けんちよう寺の観堂得光が撰した野之下州行道山浄因禅寺開山始祖偉仙和尚塔銘并序(大雲山誌稿)によると、永和二年(一三七六)結城(小山)政光の後裔で園田光氏の嫡子偉仙方裔が開山したとされるが、一説には同年将軍足利義満が伽藍を建立し、偉仙が開山したともいう(「略縁起」同書)

浄因寺
じよういんじ

[現在地名]福井市下森田本町

浄土真宗本願寺派。竜門山と号し、本尊阿弥陀如来。斯波義将の近侍として森田もりたの地を与えられたという加藤景宗の長男宗豊(順西坊祐宗)開基と伝え、二代道祐のとき居館を改めて浄因閣と称した。四代祐儀は織田信長が越前一向一揆を平定したとき討死した。心月寺本「朝倉始末記」にこの時殺された一向宗坊主のうちに「森田之祐義」の名がみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「浄因寺」の意味・わかりやすい解説

浄因寺
じょういんじ

栃木県足利(あしかが)市月谷町にある臨済(りんざい)宗妙心寺派の寺。山号は行道山(ぎょうどうさん)。本尊は聖観音菩薩(しょうかんのんぼさつ)。行基(ぎょうき)を開基とすると伝えられ、禅寺としては法徳禅師が1376年(天授2・永和2)に開山した。関東四大霊場の一つとされる。行道山の山頂にあり、秋の紅葉は名高い。本堂の後ろに地蔵尊を祀(まつ)る洞窟(どうくつ)があり、堂の前方には巨岩があって、その上には遊仙閣・浄心亭がある。堂の背後を登ると不開堂があり、山頂には岩石を積んだ上に寝釈迦(ねしゃか)が安置され、一山すべて霊域となっている。釈迦降誕花祭(4月8日前後の日曜日)には参詣(さんけい)人に一杯の浄飯を接待供養する。

菅沼 晃]

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