改訂新版 世界大百科事典 「浦戸」の意味・わかりやすい解説
浦戸 (うらど)
土佐国中央部,吾川郡の海港,城地。浦戸湾口に位置し,古代以来高知平野を後背地とする海上交通の要衝であったことは,《土佐日記》《廻船大法奥書》などからもうかがわれ,1596年(慶長1)のイスパニア船サン・フェリペ号の漂着は有名。土佐における南北両党の抗争は1336年(延元1・建武3)1月の浦戸合戦をもって始まり,戦国期には背後の半島状丘陵に本山氏が築城,1560年(永禄3)以降長宗我部氏の支城,ついで91年(天正19)ころ本城となり,不十分ながら城下町が形成される。1600年長宗我部除封に当たり一領具足を中心とする一揆軍が籠城したが間もなく鎮圧(浦戸一揆),03年高知移転まで山内一豊が在城。廃城以後の近世浦戸は水主(かこ),漁師,商人の村となるが,城下高知の海門を扼するため船の出入りを規制する〈浦戸湊口可改定〉が90年(元禄3)定められるなど特殊性をもつ有力商港・漁港として存続した。1942年高知市に編入。
執筆者:秋沢 繁
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報