世界各地で話されている言語や方言のうち、使用者の減少などにより消滅の危機にあるもの。危機言語、危機に瀕(ひん)する言語ともよばれる。現代は人類がこれまでに経験したことのないスピードで地球規模のグローバリゼーションが進行しており、政治や経済において優位性をもつ国や地域の言語が、各地域固有の言語や方言を圧迫している。21世紀を通して存続することが確実な言語は、今日の10%以下程度になるという予測もある。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、『世界消滅危機言語地図Atlas of the World's Languages in Danger』を発行しており、その2009年版において、世界の約6000言語を調査した結果、そのうちの2500あまりの言語が消滅の危機にさらされていると指摘した。ユネスコでは消滅の危機にある言語・方言の程度を、以下の6段階で示している。(1)安全 すべての世代によってその言語が話されている状態。(2)脆弱(ぜいじゃく) ほとんどの子供たちが話しているが、特定の場所(家庭など)に限って使われている状態。(3)危険 子供が家庭でもはや母語として習得しない状態。(4)重大な危機 祖父母以上の世代によって話されており、親世代では理解されるものの会話で使用されておらず、親子や子供同士でも話されていない状態。(5)極めて深刻 祖父母の世代でさえ部分的に、また、まれにしか話されない状態。(6)消滅 その言語を話す人がいない状態。なお、ユネスコの報告書では言語と方言を区別せず、ランゲージlanguageとして統一的に扱っている。
日本の言語・方言については、「極めて深刻」にアイヌ語が認定されているほか、「重大な危機」に八重山(やえやま)語(八重山方言)と与那国(よなぐに)語(与那国方言)、「危険」に沖縄語(沖縄方言)、国頭(くにがみ)語(国頭方言)、宮古(みやこ)語(宮古方言)、奄美(あまみ)語(奄美方言)、八丈語(八丈方言)が認定された。
言語が消滅することにより、多様な文化や知的な経験の蓄積が失われることは、現代の大きな問題として認識されつつあり、言語や方言を残すための記録作業が世界各地で進められている。
[編集部]
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