改訂新版 世界大百科事典 「消防用設備」の意味・わかりやすい解説
消防用設備 (しょうぼうようせつび)
消防の用に供する設備(消火設備,警報設備および避難設備),消防用水および消火活動上必要な施設を総称して,消防法(1948公布)では消防用設備等といい,その具体的内容については消防法施行令で定めているが,本項ではこれについて述べる。消防機関または市町村が公共の用に供するために設置する消火栓,防火水槽,消防自動車,消防署,消防学校および公衆用火災報知機などの消防施設とは,一般に,区別して用いられる。消防用設備等は消防法17条の規定に基づき,一定の用途,規模および構造等に該当する建築物等の関係者(所有者,管理者または占有者)がみずからの費用で技術上の基準に従って設置し,維持管理しなければならないものとなっている。とりわけ火災の発生の際には早期に関係者に通報し,初期消火を行い,避難を行わせ,または消防隊の活動を容易にするための設備として,火災による被害を軽減するために不可欠のものであり,さらには震災対策上からも同時多発火災や消防隊が通行不能になるなどの事態に際して,これらの消防用設備等の活用による住民や勤務者の自主防災行動に対する期待は大きい。消防用設備等に係る設置工事と整備については消防設備士が,また点検については,原則として消防設備士または消防設備点検資格者等の技術的資格を有する者が行うこととされ,さらに政令で定める特定の機械器具および設備については,日本消防検定協会の形式承認を受け,その旨を表示したものでなければ販売しまたは工事に使用することが禁止されている。
執筆者:桑原 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報