消火用の水を水道管から取り出すために設けられた水栓。バルブとホース接続口からなり,接続口の口径は消防ホースに合わせ65mmに統一されている。消火栓から取り出した水は消防ポンプで加圧して火点まで導かれる。消防水利としては自然水利(川や池)と人工水利(消火栓や防火水槽)があるが,消防水利が整備されないまま家屋が密集したかつての市街地では,出火はしばしば大火となった。公設消火栓は,水道配水管の埋設されている公道上の,消防活動に便利な地点に,建物の密集度や気象条件などに応じ100~200m間隔に設けられる。消火に必要な水量は火災の規模により異なるが,消火栓1口当り毎分1m3は最小限必要である。そのため単口消火栓(消防ポンプ車1台に接続してホース2本で放水可能)を設けるには直径15cm以上の水道管を,また双口消火栓(2台に接続可能)には直径30cm以上の水道管を必要とする。さらに水道管は開栓した消火栓に多方向から水が集中して供給できるよう市街地内に網目状に配管される。小都市では火災時の水量が常時の水道給水量に比べて相対的に大きくなるため,配水池などの設計にも火災時の必要水量を見込んでいる。消火栓には公設栓のほか,私有地内に私設消火栓がある。また建物所有者が設ける屋内消火栓設備は,貯水槽・高圧ポンプ・配管設備からなり,建物所有者の使用に供する。高層建物にはさらに消防隊専用の別個の消火栓用配管が設けてあり,建物1階の外壁に設けた送水接続口(サイアミーズコネクションsiamese connection)を経て高層階の専用消火栓から放水できるほか,スプリンクラー設備への補給も可能になっている。
執筆者:小林 三樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
公設消火栓は消火の目的のために上水道の給水管に設けられた消防隊用のための栓のこと。人工水利のうちで都市防火水利としてとくに重要な施設である。公設消火栓は地上式、地下式の2種に分かれる。地上式消火栓は通常、歩道と車道の境界に設置される。これは、夜間あるいは降雪時などの場合にも発見が容易なうえに作業も速くでき、清掃や標識などに費用がかからないなどの利点があるが、反面、冬季の凍結が問題である。一方、歩道がない道路などに設けられる地下式消火栓は、消火栓室を地下に設け、その中に吸水管の取り付けに必要な放水口などを設置したもので、冬季凍結や路面上の障害はないが、夜間や積雪時には発見が困難である。
私設消火栓は大規模な建築物などに自衛消防のため設けるもので、分類については屋内消火栓と屋外消火栓に大別される。これらの消火栓への給水には、水道からの水を地下の貯水槽にため、そこから給水ポンプで各階の消火栓へ送るものや、屋上の重力タンクに地下水、あるいは水道から水源をとってくみ上げ、重力を利用して各消火栓に水を送ったり、上部圧力タンクから空気コンプレッサーを用いて送ったりするものなど、いろいろの形式がある。
[岸谷孝一]
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