涸れる(読み)カレル

デジタル大辞泉 「涸れる」の意味・読み・例文・類語

か・れる【×涸れる】

[動ラ下一][文]か・る[ラ下二]《「枯れる」と同語源》
池・川・井戸などの、水がほとんどなくなる。水けがなくなり、乾いた状態になる。干上がる。「泉が―・れる」「涙が―・れる」
湿り気がなくなり、乾燥する。「よく―・れた木材
感じたり考えたりする力が減って、出なくなる。また、必要なものが不足がちになる。枯渇する。「詩嚢しのうが―・れる」「愛情が―・れる」「資金が―・れる」
[類語]乾く乾燥干上がる枯渇干からびる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「涸れる」の意味・読み・例文・類語

か・れる【涸・枯・嗄】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]か・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 ( 「かる(離)」と同語源 ) 水分がなくなる。
  2. [ 一 ] ( 涸 )
    1. 池、川、井戸など、常に水のあるはずの所に水がなくなる。干る。また、涙が出つくしてそれ以上出なくなる。
      1. [初出の実例]「耳無しの池し恨めし吾妹子が来つつ潜(かづ)かば水は涸(かれ)なむ」(出典万葉集(8C後)一六・三七八八)
    2. ( 乾・燥 ) 湿り気がなくなる。かわく。乾燥する。
      1. [初出の実例]「喉舌乾(かレ)燥きて口に言ふこと能はずして」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一〇)
    3. 気力、感情、才能などが出なくなる。
      1. [初出の実例]「茶を受け手向けをなし〈略〉三杯にかれたるたましひをさぐり」(出典:浄瑠璃・百日曾我(1700頃)五)
  3. [ 二 ] ( 枯 )
    1. 植物が、水気がなくなって生気がなくなる。また、花や葉が落ちる。
      1. [初出の実例]「み雪降る 冬に至れば 霜置けども その葉も可礼(カレ)ず」(出典:万葉集(8C後)一八・四一一一)
    2. 人、虫、魚などの生き物が、死んでひからびる。また、死ぬ。
      1. [初出の実例]「かへるのかれたるをおこせて、人かれにけるかはづの声を春立ちてなどなかぬと思ひけるかな」(出典:中務集(989頃))
    3. 皮膚などに生気がなくなり、やせ衰える。また、病み衰える。
      1. [初出の実例]「乾(かレ)痩せて頭の髪少く」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)九)
    4. (は)れ物の膿(うみ)が出たあとがかわく。
      1. [初出の実例]「督の殿々御瘡かれさせ給つれど」(出典:栄花物語(1028‐92頃)峰の月)
    5. 朽ち滅びる。絶える。
      1. [初出の実例]「よなきするこは、七うら七さとかるると申」(出典:説経節・説経苅萱(1631)中)
    6. 勢い、盛んなさまがなくなる。
      1. [初出の実例]「まだ炭もかれず、丁度湯加減もよろしいから」(出典:歌舞伎・日本晴伊賀報讐(実録伊賀越)(1880)序幕)
    7. 技芸、人間味などに未熟なところや余分なところがなくなる。
      1. [初出の実例]「めのまへのえだよりいづる風の音はかれにし物とおもほゆるかな」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)
      2. 「欵乃(ふなうた)の節かれたるが哀れと、不図耳について」(出典:置炬燵(1890)〈斎藤緑雨〉上)
  4. [ 三 ] ( 嗄 ) のどに湿り気がなくなり、声がかすれる。しゃがれ声になる。また、声が出尽くしてそれ以上出なくなる。
    1. [初出の実例]「慨(うれたき)や醜霍公鳥(しこほととぎす)今こそば声の干(かる)がに来鳴き響(とよ)めめ」(出典:万葉集(8C後)一〇・一九五一)

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