深沓(読み)ふかぐつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

深沓
ふかぐつ

とも書く。はきものの一つで2種類ある。 (1) 公家の朝服に付属する長履。革製黒漆塗りで,縁に紫革を用いる。束帯姿の際に着用され,また大雨,深雪にも用いた。 (2) 一般庶民に用いられたわら製の長靴。雪道のはきもの。

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世界大百科事典 第2版の解説

ふかぐつ【深沓】

公家の外出用の履物の一種。激しい雨や深雪のときの所用とされている。足首から上の立挙(たてあげ)と呼ぶ筒の部分も含めて,すべて牛の革製で,表面を黒漆で塗りこめ,袴の裾口にふれる立挙の縁には染革をめぐらしている。この縁革は無文の紫革を常としたが,検非違使(けびいし)は青革を用いた。なお,庶民は雪中遠くに出かけるときは,わら製の深沓(履)を用いた。沓(くつ)【鈴木 敬三】

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世界大百科事典内の深沓の言及

【長靴】より

…革またはゴムなどで作ったひざのあたりまで届く深い靴。古くから日本では,黒革製で筒が長く,雨天のときに公家が履いた深沓(ふかぐつ)や,積雪量の多い地方を中心に広く用いられたわらぐつ(藁沓)などがあったが,近代的な長靴は明治初年に乗馬用の革製のものが作られ,軍人や警察官が使ったのが最初で〈ちょうか〉と呼ばれた。ゴム製の長靴は,1905年にアメリカから輸入されたのが最初で,3年後の08年に東京の三田土ゴム合名会社が輸入品に刺激されて試作したが,これはまったくの試作に終わった。…

【舞楽装束】より

…履物は,舞人は糸鞋,歌方は浅沓である。〈久米舞装束〉は,末額(まつこう)の冠(冠の額に赤い布を巻いてある)に赤の袍,靴氈(かせん)の深沓を履き,梨子地の太刀を用いるほかは人長舞装束とほぼ同じ。歌方は衣冠単である。…

【わらぐつ(藁沓∥藁靴)】より

…平安末期に草履や草鞋(わらぐつ)が完成して以後,雪国でわらぐつがつくられるようになった。この時代,公家の伴人がわらぐつを用いたとあるのはわらじのことであり,《雅亮装束抄》によれば,上皇が雪見に用いたのは藁深沓(わらふかぐつ)であった。【潮田 鉄雄】。…

※「深沓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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