ターボ形ポンプの一種で、回転する羽根車の外側に渦巻形の通路(渦形室)のあるポンプをいう。水は中心部の吸込み口から羽根車に入り、回転による遠心作用によって羽根車からエネルギーを与えられ、高速・高圧となって外周部へ流出し、渦形室を通ってポンプ出口に達する。羽根車を出た高速の水のもつ運動エネルギーを圧力のエネルギーに変換するために案内羽根を備えたディフューザーポンプ(タービンポンプともいう)と、羽根車からの水が直接渦形室へ流れ込むボリュートポンプの2種類がある。案内羽根を備えていない後者だけを渦巻ポンプとよぶこともあり、そのときには両者を総称して遠心ポンプという。
ディフューザーポンプは高揚程に適する。とくに揚程の大きいときには、1本の軸に複数個の羽根車を取り付け、第1段の案内羽根を出た水を第2段羽根車の入口に導くというような多段式が用いられる。渦巻ポンプは排水用、発電所のボイラー給水用、上下水道用、鉱山用、化学工業用など産業界でもっとも多く使用されている。羽根を改良し、摩耗や腐食にとくに耐えるようにしたものは、泥水、汚水、パルプ混液、砂礫(されき)、石炭などの輸送に適し、また羽根数を少なくし、羽根車内の水の流路面積を大きくしたものは、魚やミカンなどを水とともに運搬するのに使用されている。
[池尾 茂]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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