渦巻ポンプ(読み)うずまきぽんぷ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「渦巻ポンプ」の意味・わかりやすい解説

渦巻ポンプ
うずまきぽんぷ

ターボ形ポンプ一種で、回転する羽根車の外側に渦巻形の通路(渦形室)のあるポンプをいう。水は中心部の吸込み口から羽根車に入り、回転による遠心作用によって羽根車からエネルギーを与えられ、高速・高圧となって外周部へ流出し、渦形室を通ってポンプ出口に達する。羽根車を出た高速の水のもつ運動エネルギーを圧力のエネルギーに変換するために案内羽根を備えたディフューザーポンプ(タービンポンプともいう)と、羽根車からの水が直接渦形室へ流れ込むボリュートポンプの2種類がある。案内羽根を備えていない後者だけを渦巻ポンプとよぶこともあり、そのときには両者を総称して遠心ポンプという。

 ディフューザーポンプは高揚程に適する。とくに揚程の大きいときには、1本の軸に複数個の羽根車を取り付け、第1段の案内羽根を出た水を第2段羽根車の入口に導くというような多段式が用いられる。渦巻ポンプは排水用、発電所のボイラー給水用、上下水道用、鉱山用、化学工業用など産業界でもっとも多く使用されている。羽根を改良し、摩耗腐食にとくに耐えるようにしたものは、泥水汚水、パルプ混液、砂礫(されき)、石炭などの輸送に適し、また羽根数を少なくし、羽根車内の水の流路面積を大きくしたものは、魚やミカンなどを水とともに運搬するのに使用されている。

池尾 茂]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「渦巻ポンプ」の意味・わかりやすい解説

渦巻ポンプ
うずまきポンプ
volute pump

遠心ポンプの一種。液体で満たされた渦巻型のケーシング内で羽根車を回転させ,液体に作用する遠心力によって下の液槽から液体を吸上げ上の液槽に押上げるポンプ。理論上,水を吸上げる高さは1段で約 10mが限度である。始動時には呼び水コックか真空ポンプを用いて液体をポンプ内に満たしてのちポンプを回転させる。案内羽根のない低揚程用のボリュートポンプと案内羽根のある高揚程用のディフューザポンプ (タービンポンプ ) に分類される。灌漑,排水,上下水道および高圧ボイラへの給水用など広く用いられている。

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