測深儀とも呼ばれる。海や湖水の深さを測定することを測深といい,これを行うための機器をいう。測深は浅海において船の座礁を防ぐためなど航海上の必要により古くから行われていた。19世紀後半からは海底電線敷設のために深海の測定が行われるようになり,その後海洋学の分野から,海底地形の測定のために広く行われるようになった。最も古いのは,おもりをつけたワイヤを下ろして着底させ,このときのワイヤの長さから測定する方法(索測深)である。しかしこの方法では深海の測定に時間がかかること,海水中の流れのためにワイヤがのびて測定が不正確になること,また航行しながらは測定できないことなどの欠点があった。第1次大戦以後はこの欠点を解決した音響測深器echo sounderが使われる。これは船底からパルス信号音を発し海底からの反射音を受信してその到達時間を測定し,音速の鉛直分布を測定して船から海底までの距離を計算する。波浪や潮汐で水面は上下しているが,深海を測定すれば測定誤差の範囲になり問題とはならない。誤差の一つは音波が広がることである。たとえば船から放射する音のビーム幅が3度でも1万m水深のときはビームは半径500mに広がり,そのためこの範囲のもっとも浅い地点までの距離を測定することになる。従来の音響測深器では航跡上の水深値しか得られないが,近年,側方の水深値まで測定できるマルチナロービームソナーやサイドルッキングソナーなども開発されている。
執筆者:平 啓介
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…船が地球上の一地点から他の地点に,安全にしかも能率的に移動するために,船の現在位置,目的地の方位,速力や水深などを計測する装置の総称。
[位置の測定]
陸岸の見えない大洋上において船の現在位置を知る方法として,例えば北半球においては北極星の高度を測定することで概略的な緯度が求められる。このような天体(星,月,太陽)の高度を測る器具としてはアストロラーブがよく知られているが,現代では反射鏡と望遠鏡が備わった六分儀が使用されている。…
※「測深器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加