湖沼型(読み)コショウガタ

精選版 日本国語大辞典 「湖沼型」の意味・読み・例文・類語

こしょう‐がたコセウ‥【湖沼型】

  1. 〘 名詞 〙 水質生物生産によって分類した湖沼の型。富栄養湖、中栄養湖、貧栄養湖などの調和型湖沼と、腐植栄養湖、無機酸栄養湖などの非調和型湖沼とがある。湖沼模式。湖沼標識。こしょうけい。

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最新 地学事典 「湖沼型」の解説

こしょうがた
湖沼型

lake type

A.Thiene-mann, E.Naumannらが湖沼をその総合的性質,特に生物生産の多少やその内容に基づいて分類したもの。湖沼模式とも。湖を調和型と非調和型に大別し,調和型とは生産量に多少はあるが生産の内容に調和がとれており,各部の生産間に著しい不均衡がない湖。世界の湖沼の大部分はこれで,その生産の多少により富栄養湖と貧栄養湖に分け,その中間のものを中栄養湖と呼ぶ。貧栄養湖は一般に深度が大で,水中に窒素化合物・リン酸塩などの栄養物質が乏しいため生物生産が小さい。日本の山地の湖沼の大部分はこれに属し,植物プランクトンや流入する粘土質などが少ないため透明度が大きく20m以上のこともあり,水色は藍あいまたは緑色。生産が少ないため溶存酸素表層過飽和になったり深層で著しく減じたりせず,飽和量の50%以上を通常含んでいる。湖底には冷温性で狭酸素性の動物,ナガスネユスリカ(Tanytarsus)幼虫,数種の軟体動物,甲殻類などが生活している。富栄養湖は一般に浅く,平地あるいは山地でも比較的肥沃な土地に囲まれたものが多い。水中に栄養物質を多く含むため植物プランクトンがよく繁殖し,流入する粘土質なども多く,水は濁り,透明度は小さく1~2mのことも多い。水色は緑・黄・黄褐色。植物プランクトンの光合成が盛んなため,停滞期には表層付近で溶存酸素が過飽和になり,このためpH8~9の弱アルカリ性となる。一方,深層では有機物の分解のため酸素が著しく減じ,ときに湖底上数mに及ぶ無酸素層を生ずる。深底部には酸素の欠乏に耐える広酸素性動物のイトミミズオオユスリカChironomus)幼虫,フサカ(Corethra)幼虫がいる。プランクトン量は多く,特にラン藻が増え,しばしば水の華をつくる。魚類の生産も大。非調和型湖沼とは,生産の内容が不均衡で,特殊な生物のみ繁殖しているような湖。生産を非調和にする水中の成分により腐植栄養型・酸栄養型・アルカリ栄養型などに分かれる。腐植栄養型には泥炭地や高位湿原の湖沼が含まれ,褐色の水をたたえるものが多い。水中の腐植質コロイドが硝酸塩,アンモニア,特にリン酸塩を吸着するため,通常の植物プランクトンの生育が妨げられる。腐植酸のため水質は微酸性を呈し,高位湿原の池ではpH4に及ぶ。水底に緑藻の一種のツヅミモが多く,動物プランクトンも2~3の種類のみ多いことがある。酸栄養湖は活火山地方に多く,火山性の硫酸や塩酸を含み,pHは3~4くらいから草津白根山湯釜のように0.9に及ぶものまである。硫黄コロイドのため白濁しているものや特殊な色を示すものもあるが,一般に透明度は大。水中に無機酸のほかCa・Fe・Mnなどを多く含む。生物相は極端に非調和で,硫黄細菌・鉄細菌のほか珪藻ではPinnularia brauniiが多く,輪虫類・甲殻類・ユスリカ幼虫・コケ類などの2~3種がみられ,魚ではウグイが酸性に強い。腐植栄養湖のうち腐植酸のため酸性を示す湖も酸性湖と呼ぶことがある。アルカリ栄養型の湖沼は乾燥または半乾燥地域に分布し,主に炭酸ナトリウムによりアルカリ性を呈する。ラン藻の2~3種が異常に繁殖し,輪虫類のBrachionus uroceolarisが多い。このほか粘土質の多いものを粘土栄養相,Feを多量に含むものを鉄栄養相,Caの多いものを石灰栄養相,硫化水素の多量なものを硫化物栄養相などと呼んでいるが,いずれも独立した型をなすほどの意義はない。

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百科事典マイペディア 「湖沼型」の意味・わかりやすい解説

湖沼型【こしょうがた】

湖沼標式とも。湖水中における物質循環および生物による有機物生産に基づく湖沼の総合的な性質の分類。生物の生産に関する種々の栄養物質の量が調和がとれ生産を特に妨げる物質が存在しない場合の調和型と,特定の成分が多く生産が順調に行われない非調和型に大別される。さらに前者は富栄養湖貧栄養湖に,後者は,腐植栄養湖,酸栄養湖,アルカリ栄養湖に細分される。
→関連項目湖沼酸栄養湖

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「湖沼型」の意味・わかりやすい解説

湖沼型
こしょうがた
lake type

湖沼標式ともいう。湖沼中における生物生産の多少やその内容,物質循環に基づき,湖沼の総合的性質を分類したもの。湖沼を,その成因,水温など一つの基準によって分類する方法は古くから行われていたが,1920年頃スウェーデンの E.ナウマンとドイツの A.ティーネマンとが生物湖沼型を考案した。それによると,湖沼は調和型と非調和型に分類される。調和型はその生産の内容に調和がとれている湖で,世界の湖の大部分がこれに属する。調和型には,生産の多少により富栄養型と貧栄養型とがあり,両者の中間に中栄養型を設けることもある。非調和型は生産の内容が不均衡な湖で,そのなかには腐植栄養型,酸栄養型,アルカリ栄養型,鉄栄養型がある。

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世界大百科事典(旧版)内の湖沼型の言及

【湖沼】より

…ドイツのティーネマンは,このように植物の生産と深層水中の酸素量,底生動物の種構成の間に密接な支配関係があることから,前者の湖をタニタルサス型(指標となる底生動物名),後者をキロノマス型として,湖を二つの型に分けた。
[湖沼型]
 山間にある深くて湖水が美しく澄んでいる湖では,一般に水中に栄養塩が乏しく植物の生産活動は著しく低い。深層水は夏でも溶存酸素が豊富である。…

※「湖沼型」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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