リン、窒素などの栄養塩濃度が低く、生物生産力の低い調和型の湖。一般に水深が深く、表水層に比べて深水層の容積が大きい。湖棚(こだな)の幅は狭く、底泥中には有機物が少ない。底泥は珪藻骸泥(けいそうがいでい)が主であるが、堆積(たいせき)層は薄い。溶存酸素量は夏の成層期でも底層まで十分にあり、表層と底層間の濃度差も小さい。水素イオン濃度(pH)は中性付近で、腐植質、懸濁物質が少ないため透明度は高い。植物プランクトンは珪藻が主であるが、量は少ない。水生植物の分布は粗であるが、生育限界深度は深い。動物プランクトンも量は少なく、サヤツナギ、カメノコウワムシ、ケンミジンコがみられる。底生生物の種類は比較的多く、量もかならずしも少なくはないが、酸素要求量の高い種が多い。
日本の代表的な貧栄養湖としては摩周湖(ましゅうこ)、十和田湖(とわだこ)などの深い湖があげられる。しかし、熱帯の場合には、深い湖で、かつ栄養塩濃度が低いにもかかわらず、生物生産力の高い湖(インドネシア、スマトラ島のトバ湖など)が存在する。
[沖野外輝夫]
『沖野外輝夫・半田暢彦ほか著『湖沼調査法』(1987・古今書院)』▽『飯田貞夫著『やさしい陸水学――地下水・河川・湖沼の環境』(1997・文化書房博文社)』▽『沖野外輝夫著『湖沼の生態学』(2002・共立出版)』
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…沿岸帯では水草が繁茂している。これら二つの型の湖は,先に述べたタニタルサス型,キロノマス型にそれぞれあたり,今日では前者を貧栄養湖,後者を富栄養湖,両者の中間的性格の湖を中栄養湖と呼んでいる。このように,湖沼における植物の生産とその支配因子に注目して分けた湖の型を湖沼型lake typeという。…
…元来は陸水学の用語。長い年月の間に貧栄養湖oligotrophic lakeが富栄養湖eutrophic lakeに移り変わっていく現象をいう。現在はより広義に,水域の種類にかかわりなく,水中の栄養塩濃度が増加し,水域の植物の生産活動が高くなっていく現象,いいかえると,貧栄養的水域が富栄養的になっていく現象を指す。…
※「貧栄養湖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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