溶射(読み)ヨウシャ(英語表記)metallisation
spray coating

デジタル大辞泉 「溶射」の意味・読み・例文・類語

よう‐しゃ【溶射】

[名](スル)金属セラミックスなどを溶融し、金属表面に吹きつけて被覆する方法耐食性・耐摩性を高めるために行う。

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精選版 日本国語大辞典 「溶射」の意味・読み・例文・類語

よう‐しゃ【溶射】

  1. 〘 名詞 〙 金属・セラミックなどを溶融し、金属表面に吹きつけておおう方法。耐食性・耐摩性を高める。〔世界を変える現代物理(1963)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「溶射」の意味・わかりやすい解説

溶射 (ようしゃ)
metallisation
spray coating

構造部材や機械部品などの表面に溶融した金属粒子を吹きつけて被覆を行う方法。この方法で形成される皮膜は金属の溶滴の連続から成り,素地との結合もほとんど機械的な結合である。このため加工の素地はショットブラストなどで脱スケールと同時に適度に荒しておく必要がある。原理的にみて溶融できる材料はすべて溶射法で皮膜とすることが可能であるが,薄くて均一な皮膜をつくるためには高度の装置と熟練が必要となる。実用用途としては鉄鋼材料の防錆,機械部品の肉盛,耐熱耐摩耗性皮膜の付与などが主である。とくに表面硬化を目的として,下地よりも硬度の高い合金材料を溶射する処理法をハードフェーシングhard-facingと呼んでいる。防食防錆の用途にはアルミニウム溶射,亜鉛溶射が用いられる。溶射装置は移動性に富むので,現場で組み立てられた構造物への施工などに利点をもっている。溶射装置としては従来の火炎溶射機flame spray gunに加えてプラズマ溶射機plasma spray gunが発達し,現在では溶射物質も金属だけでなくセラミックス材料などの皮膜化が可能になっている。

 日本では古くからメタリコンと呼ばれてきたが,これは外国では通じない。金属溶射としてはメタリゼーションなどが使われるが,セラミックスなども含める場合にはスプレーコーティングが適当である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「溶射」の意味・わかりやすい解説

溶射
ようしゃ
thermal spraying

可燃性ガスによる燃焼炎あるいはアークなどの電気エネルギーを用いて,材料を溶融させて吹飛ばし,基材表面に付着・積層させて皮膜を形成する技術。溶射の方法には多くの種類がある。ガス溶射には,酸素アセチレンやプロパンなどの燃焼炎で材料を溶融して皮膜を形成するフレーム溶射と,酸素とアセチレンの混合ガス中に微粉末材料を浮遊させ,瞬間的に爆発燃焼させ基材表面に皮膜を形成する爆発溶射がある。一方,電気エネルギーを利用する方法には,2本の金属線材の先端の間にアークを発生させ,溶融した部分を圧縮空気で吹飛ばし基材表面に付着・積層させ皮膜を形成させるアーク溶射と,アルゴン Arやヘリウム Heなどの不活性ガスをアークによってプラズマ化し,超高温,高速流中に溶射粉末を送給し,溶融させつつ加速して,皮膜を形成するプラズマ溶射がある。特に減圧雰囲気中でのプラズマ溶射は,高融点金属やセラミックスの溶射に用いられ,航空機やガスタービンの耐熱被覆から,最近では酸化物超伝導材料や燃料電池などの機能性薄膜の作製まで,適用範囲の幅が広がっている。

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化学辞典 第2版 「溶射」の解説

溶射
ヨウシャ
thermal spraying

溶融させた材料を吹き飛ばして微粒子とし,これを基盤面上に付着・積層させることにより皮膜を作成する技術.溶射によって表面に皮膜を形成することにより,基盤材料の耐食性や耐摩耗性を改善することができる.材料を溶融させる方法の違いから,ガス溶射,アーク溶射,プラズマ溶射などに分類される.なお,離型剤を塗布した金属型に対して溶射を行い,皮膜と型を分離することにより任意形状の成形体を作成することが可能であり,この成形手法を溶射成形という.

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百科事典マイペディア 「溶射」の意味・わかりやすい解説

溶射【ようしゃ】

溶融した金属を,圧縮空気でノズルから噴出させて霧化,製品に吹き付けて表面に金属皮膜を形成,防錆(ぼうせい)・美化などを図る表面処理法。鉄鋼製品に亜鉛を溶射することが多いが,スズ,アルミニウム,銅なども溶射され,対象製品も非金属に及ぶ。またガラス,プラスチックなどの非金属溶射も行われる。〈メタリコン〉ともいうが,これは日本だけの呼称。

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