(読み)そおつ

精選版 日本国語大辞典の解説

そお・つ そほつ【濡】

〘自タ上二・自タ四〙 ⇒そぼつ(濡)

そぼ・つ【濡】

(古くは「そほつ」「そほづ」。「そおつ(づ)」の時代も)
[1] 〘自タ上二〙
① 雨、涙などによって、ぐっしょりぬれる。うるおう。
※書紀(720)武烈即位前・歌謡「玉笥(たまけ)には 飯(いひ)さへ盛り 玉盌(たまもひ)に 水さへ盛り 泣き曾裒遅(ソホチ)行くも 影媛あはれ」
※蜻蛉(974頃)上「ひきとむるものとはなしにあふさかの関のくちめのねにぞそほつる」
② (雨が)しめやかに降る。しとしとと降る。しょぼしょぼふる。そぼふる。
※古今(905‐914)恋三・六三九「あけぬとてかへる道にはこきたれて雨も涙もふりそほちつつ〈藤原敏行〉」
[2] 〘自タ四〙 (一)に同じ。
※源氏(1001‐14頃)葵「あさみにや人はおりたつわがかたは身もそほつまで深き恋ちを」
[補注]連用形は四段活用か上二段活用か区別しがたいが、四段は確例に乏しいので、上二段として処理した。

ぬらし【濡】

〘名〙 (動詞「ぬらす(濡)」の連用形の名詞化)
① ぬらすこと。また、ぬらしたもの。
② 相手のよろこぶように色めかしい言語動作をすること。
評判記難波物語(1655)「かしこき人は心さとく口ききたるままに、よきかげんなるぬらしをしかけ」
③ (「焼く」を、「火」と反対の水の縁語でいいかえたもの) 嫉妬。また、嫉妬ぶかい人。

ぬら・す【濡】

〘他サ五(四)〙
① ぬれるようにする。水などにしめす。うるおす。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一〇「血流れて泥と成りて、其の地を霑(ヌラシ)(けが)せる」
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)出羽三山「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」
② 相手のよろこぶような色めかしい言語動作をする。色めかしさで人の心を動かす。巧言をもってたらしこむ。
※評判記・美夜古物語(1656頃)「男とても、けいせいをぬらさぬにはあらじ」
③ (「口をぬらす」の形で) 貧しい生活をする。やっと暮らしを立てる。
大つごもり(1894)〈樋口一葉〉上「曲りなりにも親子三人の口をぬらして」

ぬ・る【濡】

〘自ラ下二〙 ⇒ぬれる(濡)

ぬれ【濡】

〘名〙 (動詞「ぬれる(濡)」の連用形の名詞化)
① 濡れていること。
※源氏(1001‐14頃)夕霧「道の露けさもいと所せし〈略〉女君のかかるぬれをあやしと咎め給ひぬべければ」
② 色事。情事。恋愛。また、色めいていること。なまめかしいこと。
※評判記・色道大鏡(1678)一「ぬれ 当世の名目なり。惘(ほれ)たる㒵(かたち)なり。おもひよりたる風情を、しなしいひなす処をさしていふ」
③ 恋人。愛人。いろ。間夫(まぶ)
洒落本・浪花色八卦(1757)桐薹卦「間夫(マブ)をぬれととなへて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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