精選版 日本国語大辞典 「濡」の意味・読み・例文・類語
そぼ・つ【濡】
(古くは「そほつ」「そほづ」。「そおつ(づ)」の時代も)
[1] 〘自タ上二〙
① 雨、涙などによって、ぐっしょりぬれる。うるおう。
② (雨が)しめやかに降る。しとしとと降る。しょぼしょぼふる。そぼふる。
[2] 〘自タ四〙 (一)に同じ。
※源氏(1001‐14頃)葵「あさみにや人はおりたつわがかたは身もそほつまで深き恋ちを」
ぬら・す【濡】
〘他サ五(四)〙
① ぬれるようにする。水などにしめす。うるおす。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一〇「血流れて泥と成りて、其の地を霑(ヌラシ)汙(けが)せる」
③ (「口をぬらす」の形で) 貧しい生活をする。やっと暮らしを立てる。
ぬれ【濡】
① 濡れていること。
※源氏(1001‐14頃)夕霧「道の露けさもいと所せし〈略〉女君のかかるぬれをあやしと咎め給ひぬべければ」
③ 恋人。愛人。いろ。間夫(まぶ)。
※洒落本・浪花色八卦(1757)桐薹卦「間夫(マブ)をぬれととなへて」
ぬらし【濡】
〘名〙 (動詞「ぬらす(濡)」の連用形の名詞化)
① ぬらすこと。また、ぬらしたもの。
② 相手のよろこぶように色めかしい言語動作をすること。
※評判記・難波物語(1655)「かしこき人は心さとく口ききたるままに、よきかげんなるぬらしをしかけ」
③ (「焼く」を、「火」と反対の水の縁語でいいかえたもの) 嫉妬。また、嫉妬ぶかい人。
そお・つ そほつ【濡】
〘自タ上二・自タ四〙 ⇒そぼつ(濡)
ぬ・る【濡】
〘自ラ下二〙 ⇒ぬれる(濡)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報