中国仏教の用語。教団の機構や日常生活について規定したもの。清衆,すなわち清浄大衆の規式の意。唐代,百丈懐海の創始という。インド仏教は,比丘の生活資財を乞食に求めて,生産や蓄財を禁じ,これを戒律に定めた。風俗習慣の異なる中国社会で,文字どおりの戒律の実行は不可能である。中国仏教の実情に即して,自給自足を原則とする新しい禅院規範が要求された。百丈は大衆とともに率先労働し,これを普請と名づける。〈一日作(な)さずんば,一日食わず〉とは,彼の自戒の句であった。座禅のしかたと心得が成文化され,上堂,示衆,入室,参禅,問答の細則が定められる。住持,大衆の大綱から,首座や直職の両班と,飯頭,典座その他,十務とよばれる役職が決定される。そうした清規の制定は,禅に限らず,天台,華厳の教宗や律宗に広がり,儒道2教に影響し,日本では,能楽や茶道など芸能諸派に及ぶ。
執筆者:柳田 聖山
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
禅宗叢林(そうりん)で清衆(せいしゅ)(修行者)が実践する修道生活の規範をいう。中国唐の百丈懐海(ひゃくじょうえかい)(749―814)が大小乗の戒律や中国の礼俗を参考にして設けた『百丈清規』に始まる。これは早く散逸して伝わっていないが、燈史(とうし)(禅宗の伝統)や語録(禅者独自の法問)の成立と呼応して禅宗の確立を表す道標として重要視されるとともに、仏教の戒律史上に大乗精神を積極的に実践する規律として、また中国仏教の現実的課題にこたえるものとして、さらには礼楽の極致を実現するものとして評価されている。宋(そう)代に長廬宗賾(ちょうろそうさく)が『禅苑清規(ぜんえんしんぎ)』(1103)を編述して再興し、以後これを指標に中国・日本の禅院でおのおのに適合した清規が次々と制定されることになった。
[小坂機融]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…語録は,経論の訓詁や,体系の書とは異なる,一人一人の個性の記録である。さらに,祖師禅はインド伝来の戒律に代わって,清規(しんぎ)とよばれる新しい僧院の集団規則を生む。馬祖につぐ百丈懐海(ひやくじようえかい)の創意である。…
…京都と鎌倉に五山十刹(じつせつ)の制ができ,諸山の格などが整って全国に禅宗寺院が普及すると,特に臨済宗では一定の原則で建立されるものが多くなった。禅宗の理想として南宋五山の伽藍と自然環境の境致を模し,僧の生活も宋の禅宗のきまりである〈清規(しんぎ)〉を守ろうとしたのである。そこで禅宗文化は教義や戒律のみでなく,生活文化や芸術活動をふくむ総合体系として取り入れられ,その場を形成する要素として禅宗建築形式は後々まで遵守された。…
※「清規」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加