無作為抽出(読み)むさくいちゅうしゅつ(英語表記)random sampling

翻訳|random sampling

改訂新版 世界大百科事典 「無作為抽出」の意味・わかりやすい解説

無作為抽出 (むさくいちゅうしゅつ)
random sampling

有意抽出対語で,任意抽出,またはランダムサンプリングともいう。無作為抽出とは,調査の対象となる集団の構成要素一つ一つ標本としてとり出すか否かを一定の確率法則に従う手段で決めることをいう。実際の抽出に当たっては乱数表などを利用して標本の無作為化が図られる。無作為抽出の中でもっとも基本的な抽出法は,対象となる元の集団(母集団)のどの構成要素にも同じ大きさの抽出確率を付与する単純無作為抽出法である。しかし,(1)利用可能な抽出台帳についての制約,(2)抽出手続の簡便化,(3)推定精度の向上,(4)現地調査範囲の局地化など,実用上の配慮から,さまざまな抽出技法が考案されている。たとえば,エリア・サンプリングや二相抽出法は(1)の対応策として用いられることがあり,系統抽出法は主として(2)と(3)のために,層化抽出法は主として(3)のために,多段抽出法は主として(4)のために用いられる。実際の大規模な標本調査においては,層化多段無作為抽出法のように,これらの諸技法を複合した抽出法が採用されることが多い。無作為抽出に基づく標本調査は,一部分の要素の調査結果から母集団の平均・分散など母数を推定したときの誤差評価が可能であるという点では,有意抽出法による場合より優れている。
抽出法 →標本調査
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百科事典マイペディア 「無作為抽出」の意味・わかりやすい解説

無作為抽出【むさくいちゅうしゅつ】

任意抽出,ランダム・サンプリングとも。標本調査における抽出法一つ母集団に属するどの単位体または単位量も,等しい確率で標本に入るように標本を抽出すること。こうして得られた標本は母集団全体の傾向を忠実に表し,また確率の法則を適用できる。ふつう品物番号をつけ,乱数表を用いてランダムに番号を選んで対応する品物を抽出し標本とする。
→関連項目層化抽出抜取検査

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「無作為抽出」の意味・わかりやすい解説

無作為抽出
むさくいちゅうしゅつ

ランダム・サンプリング

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

栄養・生化学辞典 「無作為抽出」の解説

無作為抽出

 母集団から分析標本を採取する際に,作為を加えないように配慮して採取すること.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「無作為抽出」の意味・わかりやすい解説

無作為抽出
むさくいちゅうしゅつ

標本」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の無作為抽出の言及

【ギャラップ】より

…48年の大統領選挙予測は失敗。しかし,これを契機に,その後最も広く用いられるランダム・サンプリング(無作為抽出)という標本抽出調査法を開発した。彼は〈世論調査〉を企業化し,それを〈民意〉の模造品として各レベルの政策立案・決定過程に,現実に考慮される比重はともかく,不可欠のものとして組み込ませることに成功した。…

【抽出法】より

…統計調査の対象となる集団からその構成要素の一部分(標本)をとりだして調査に付すいわゆる標本調査において,標本のとり方を抽出法(あるいは標本抽出法)という。抽出法にはいろいろな技法があるが,各構成要素を標本にするか否かを一定の確率法則に従う手段で決める方法を無作為抽出法(あるいは任意抽出法),確率的には決めない方法を有意抽出法(あるいは有意選択法)という。有意抽出法の代表的なものとしては,アンケート法,典型(調査)法,割当法などがあり,これらはそれぞれ目的や抽出法を異にする。…

【統計学】より

標本調査法は多数の構成単位からなる大きい集団(母集団という)の特性値を,その構成単位の一部(標本という)だけを取り出して観察することにより,推定する方法を取り扱う。その際調査される対象を,なんらかの確率的方式に従って選ぶランダム・サンプリング(無作為抽出法)が一般に用いられる。実験計画法は,観測値がいろいろの理由による偶然変動を含むような条件のもとで実験を行い,結論を導く方法を扱う。…

【標本】より

…サンプルともいう。標本の選び方を抽出法というが,抽出法は,その方式の相違によって有意抽出法,無作為抽出法に二分され,それらはさらに多くの技法に細分することができる。実際の調査で多用される無作為抽出法(ランダム・サンプリング)によって選び出されたものをとくに無作為標本(ランダム・サンプル)という。…

【標本調査】より

…対象となる集団のすべての構成要素を観察する統計調査が全数調査と呼ばれるのに対し,構成要素の一部分しか観察されない統計調査は標本調査と呼ばれる。標本調査は,構成要素の抽出が確率的に行われるか否かによって,無作為抽出法(ランダム・サンプリング)と有意抽出法とに二分される。有意抽出法には典型調査,割当法,アンケート法などがあり,歴史的にも先行するが,方法の未成熟や欠陥のため現在ではあまり重視されない。…

※「無作為抽出」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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