ランダム・サンプリング(読み)らんだむさんぷりんぐ(英語表記)random sampling

翻訳|random sampling

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランダム・サンプリング」の意味・わかりやすい解説

ランダム・サンプリング
らんだむさんぷりんぐ
random sampling

無作為抽出ともいう。社会調査の対象となるものの個体(人、世帯など)数が多いときには、全体を調べるためにはたいへんな費用や時間を要する。そのため、そのようにして収集されたデータは、結果が古くて役にたたないものになったり、調査の条件が一定でなくなったりする。そこで、調査対象の全体を調べるかわりに一部分サンプルとして調べ、その結果から統計学理論を用いて全体を推測するのが普通である。ランダムサンプリングは、サンプルを選ぶための代表的な方法である。調べようとする対象全体すなわち母集団縮図となるよう、くじ引きのように、各個体の特性を考慮せず偶然にゆだねて決定する。いいかえれば、サンプルとして選ばれる確率がすべての個体に関して等しくなるように決定する。

 くじ引きとまったく同じ原理で行う方法を単純ランダム・サンプリングというが、手間がかかる。そのため実際には、母集団の成員に一連の番号をつけて、初めの一つのサンプルだけをランダムに選び、あとは等間隔に決定する系統抽出法systematic samplingが用いられることが多い。電話調査では、コンピュータによって電話番号をランダムに選び出し、その電話の所有者を調査対象にするRDD(random digit dialing)という方法が用いられる。

 また、最初から個体を選び出すのではなく、母集団をいくつかの内部で等質な層に分け、各層から抽出を行う層化抽出法stratified sampling method、最初に地域などの個体の集まりを抽出し、次に抽出された個体の集まりから個体を抽出する多段抽出法multi-stage samplingなども、実際に用いられる方法である。

[原 純輔]

『西平重喜著『統計調査法』改訂版(1985・培風館)』『原純輔・浅川達人著『社会調査』改訂版(2009・放送大学教育振興会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例