翻訳|population
ある集団のもつ性質を調査するとき、集団の一部分を適当に選び出し、その一部分について調査し、その調査結果をもとにしてもとの集団の性質を推定することがある。この場合、もとの集団を母集団といい、選び出した一部分を標本という。たとえば、ある地域の成人男子全体の平均身長を知りたいとしよう。このとき、その地域の成人男子全体について身長の記録をとってその平均を求めればよいが、地域が広い場合などは、労力、費用、時間などの点から実行が困難なことが多い。そうした場合には、地域から適当な方法で選び出された一部分の成人男子について身長の記録をとり、その平均をもって、全体の平均身長を推定する。
[古屋 茂]
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…彼のもっていた〈平均人〉という概念は,人々のもつ各種の標識の測定値が正規分布に従って平均値のまわりに分布すると考え,その平均値をもつものを指していた。そのような考え方は母集団の概念を導入するうえで役だったのである。続いて,優生学の研究の創始者として知られるイギリスの科学者F.ゴールトンが現れ,人体測定研究所で調査した多数のデータを解説するために相関係数の概念を導入して統計学の新しい手法を開発した。…
…応用としては,例えば,化学反応の収率を上げる目的で使用する触媒の比較とか,現在の日本の成人男子の身長を10年前と比較するとか,あるいは,ある病気に対する2種の治療法を比較するなど数多くの例を挙げることができる。この場合,収率,身長など比較したい事物の集合を母集団といい,無作為にとった少数の標本に基づいて元の母集団を比較するという形式をとる。母集団の記述にはいろいろな方法が考えられる。…
…実際の調査で多用される無作為抽出法(ランダム・サンプリング)によって選び出されたものをとくに無作為標本(ランダム・サンプル)という。この抽出法においては,標本の対語は母集団で,集団の標識全体を考え,各要素に目的に応じて適宜抽出確率を付与したものを母集団という。なお,標識の担い手である構成要素(単位)の集合体そのものを母集団と呼ぶ場合もある。…
…表1の例の場合にA~Jに順に1,2,……,9,0という一連番号をつけたと考えて,この乱数表の先頭部分(1行1列)を横に読んで5人とり出すことにすれば,D,E,H,F,Jの5人が当たることになる。このとき,とり出された要素を標本(サンプル),その数を標本数(サンプル・サイズ),標本がとり出された母体(標識の集り,この例では賃金の集り)を母集団と呼ぶ。 上で選ばれた標本に基づいて標本平均を計算すると,=(4+4+7+4+9)/5=5.6(万円)になる。…
※「母集団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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