翻訳|gemma
元来は植物の若い芽を意味する用語で,むかごをも含む言葉であったが,現在は隠花植物,とくにコケ植物の栄養生殖にあずかる単細胞または多細胞の散布体に対して用いられる。母体の栄養器官上に生じ,母体に似ていない特定の形に発達したのちに自然に脱落し,発芽して新個体を形成する。ゼニゴケでは葉状体の表面に存在する杯状の構造(杯状体cupule)の底部の表皮細胞から次々と多細胞で鼓形の無性芽を生じ,それらが母体から離れ,雨水に流されて広く散布し,それぞれが発芽して新個体となる。無性芽はゼニゴケに限らずコケ植物に広くみられ,粉状,糸状,円盤状,こん棒状など,その形態はさまざまである。コケ植物には胞子をつくらず,無性芽によって繁殖している種類も多い。シダ植物の一部(コケシノブ科,シシラン科など)でも配偶体(前葉体)が無性芽を生じることがある。
執筆者:北川 尚史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…茎でもイワヒメワラビなどの腋外芽は不定芽の一種である。不定芽のうちにはそのまま母体から分離して繁殖体になる無性芽gemma(むかご)となるものも多い。【岩槻 邦男】。…
※「無性芽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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