栄養生殖(読み)エイヨウセイショク(その他表記)vegetative reproduction

デジタル大辞泉 「栄養生殖」の意味・読み・例文・類語

えいよう‐せいしょく〔エイヤウ‐〕【栄養生殖】

無性生殖の一。主に植物栄養体一部が、母体から分離して新個体を形成する生殖法。地下茎むかごを生じてふえるものや、挿し木取り木など人工的に行うものもあり、遺伝的には母体と同一栄養体生殖栄養繁殖

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精選版 日本国語大辞典 「栄養生殖」の意味・読み・例文・類語

えいよう‐せいしょくエイヤウ‥【栄養生殖】

  1. 〘 名詞 〙えいようたいせいしょく(栄養体生殖)

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改訂新版 世界大百科事典 「栄養生殖」の意味・わかりやすい解説

栄養生殖 (えいようせいしょく)
vegetative reproduction

栄養繁殖ともいう。無性生殖の一種で栄養体(生物体の生殖器官以外の部分)の一部が母体から離れて独立し,新個体を形成すること,またはその過程。新個体は遺伝的に母体と同一の性質をもつ。細菌植物の二分裂,酵母の出芽地衣類の粉芽,コケ植物無性芽による増殖は隠花植物における栄養生殖の例である。また,ジャガイモのいも(塊茎),サツマイモのいも(塊根),オニユリのむかご(珠芽),イチゴオランダイチゴ)のつる(走枝)による増殖は被子植物における栄養生殖の例である。株分け,取木,挿木接木なども人為による栄養生殖であり,母体の特性がよく保存されるので,栽培植物の優良品種の増殖はこの方法によっている。なお,栄養生殖は広義には無性生殖と同じ意味に用いられ,胞子による増殖をも含めることがある。動物の場合,ヒドラの出芽のような栄養体による増殖はふつう栄養生殖と呼ばず,単に無性生殖と呼ぶことが多い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「栄養生殖」の意味・わかりやすい解説

栄養生殖
えいようせいしょく
vegetative reproduction

無性生殖というのとほぼ同義であって,有性生殖を行う生物がそれ以外の変則的な方法で生殖することをさす。天然の栄養生殖の例は,むかご (ヤマノイモ,オニユリ) によるもの,枝の先端からの芽出によるもの (オリヅルラン,イチゴ) などがある。人為的に利用される栄養生殖法としては,挿木,挿葉などがある。動物の場合にも,たとえばヒドラが芽出によってふえるのは植物での栄養生殖と同じことであるが,動物では習慣的に無性生殖といい,栄養生殖の語はあまり用いない。

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百科事典マイペディア 「栄養生殖」の意味・わかりやすい解説

栄養生殖【えいようせいしょく】

栄養繁殖ともいう。無性生殖の一種で,多細胞生物の体の一部(生殖器官以外の栄養体)から新個体のつくられることをいう。細菌の二分裂,酵母の出芽,コケ植物の無性芽による増殖,イモ類の塊茎や塊根,オニユリのむかごなどがその例。株分けやさし木などはこの応用。なお動物の場合には,単に無性生殖と呼ぶ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「栄養生殖」の意味・わかりやすい解説

栄養生殖
えいようせいしょく

栄養繁殖

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世界大百科事典(旧版)内の栄養生殖の言及

【生殖】より


[植物の生殖]
 植物の生殖は,体の一部または無性の生殖細胞である胞子から新しい個体ができる無性生殖と,性的に異なる2種の配偶子が合体する有性生殖の二つに大別される。 栄養体(葉状体,根,茎など)の一部から新しい個体の生まれる栄養生殖は無性生殖の一つであり,例えばオニユリやヤマノイモなどの側芽は多肉化して〈むかご〉になる。また,ジャガイモ,キクイモなどでは塊茎から,ワラビ,ササ,タケなどでは地下茎から,ベゴニア,コモチシダなどでは葉の不定芽から新しい個体がつくられる。…

※「栄養生殖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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