水を含まないエタノール(エチルアルコール)をいう。無水酒精ともよばれる。濃度が95%程度のエタノールを脱水して製造する。脱水の方法としては、脱水剤による方法と蒸留による方法がある。脱水剤としては、酢酸ナトリウムと酢酸カリウムの混合融解物、酸化カルシウム(生石灰)などが用いられる。蒸留による方法としては、ベンゼンあるいはトリクロロエチレンを加えて共沸混合物として水を除く方法と、水と共沸混合物をつくらない70トル≒93.3ヘクトパスカル(1トルは約1.33ヘクトパスカル)以下に減圧して蒸留する方法とが知られている。写真感光材料やエステル類、アセチルセルロースの製造、医薬品や香料の製造に使われる。
[廣田 穰 2016年11月18日]
水を含まないエタノールのこと.普通,99.5% 以上のエタノールを無水アルコールまたは無水エタノールとよんで市販されている.蒸留ではエタノールの濃度は約96%(水との共沸混合物)以上にはならない.これを99.5% 程度にするには,エタノールに対して約1/5量の酸化カルシウムを加えて数時間還流したのち,防湿管を付けて注意して蒸留する.さらに完全に水を除くには,金属マグネシウムと少量のヨウ素または臭化エチルとを加えて還流したのち,蒸留するとよい.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…生石灰を加えて煮沸後蒸留すると99.5%程度となり,さらに金属カルシウム,ベンゼンなどを加えて再び蒸留すると微量の水を除くことができる。99.5%以上のアルコールを無水アルコールという。
[用途]
タンパク質を凝固させる性質を利用した消毒殺菌剤(殺菌力は水に対する濃度70%のとき最大),飲食料用,エーテルや各種エステル製造のための化学工業用原料,溶剤などに用いられる。…
※「無水アルコール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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