無縁社員(読み)むえんしゃいん

知恵蔵 「無縁社員」の解説

無縁社員

日本経済新聞社が2012年9月に記事で発表した造語。職場内で机を並べていても、同僚との会話がない社員のこと。フレックスタイムが導入され、出勤時間が人によってまちまちになり、休憩時間や退社時間が異なる傾向にあるのが要因だと、記事では分析している。それにより、昼食を共にする機会や就業後の飲み会が減少。また残業が削減され、就業時間内に仕事を終わらせるために忙しくなり、会話をしている暇がなくなったとの見方もある。
産業能率大学が11年に行った職場内のコミュニケーションの実態調査では、約3割が職場内で孤独を感じるという結果が出ている。だが職場内でコミュニケーションが多いほど、営業成績が上がるという企業の調査結果もある。そういった背景があるからか、社内に会議室とは別に雑談スペースを設けるなど、従業員同士の交流を持つよう努める企業も増えている。
また、似た言葉に「無縁社会」がある。これは家族地域会社などにおける人とのきずなが薄れ、孤立する人が増えている社会を指し、2010年の「ユーキャン新語・流行語大賞」(現代用語の基礎知識選)のトップテンにも選ばれるなど、現代社会のつながりの希薄さは、様々な形で取りざたされている。

(金廻すみ子  ライター / 2012年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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