精選版 日本国語大辞典 「無門関」の意味・読み・例文・類語
むもんかん ムモンクヮン【無門関】
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中国、宋(そう)代の仏書。一巻。中国臨済(りんざい)宗の無門慧開(むもんえかい)が、禅宗の古則公案より48則を選んで頌(じゅ)を付した公案集。1228年(紹定1)の成立で、慧開に参じた弥衍宗紹(みえんそうしょう)の編集になる。趙州従諗(じょうしゅうじゅうしん)と雲門文偃(うんもんぶんえん)の禅に強い関心を示す。とくにその第一則の「趙州無字(じょうしゅうむじ)」の公案は重要で、宋代公案禅の極地に位置するという。中国では、早くその伝本を断ったらしいが、日本へは入宋(にっそう)して虚堂智愚(きどうちぐ)に参じて得法した無本覚心(むほんかくしん)(1207―98)によって初めて伝えられたとされ、五山版や古活字版の刊本もある。中世にはあまり関心をひくことがなかったが、江戸時代になると再認識され、多くの注釈が成立した。そのなかでも、『無門関春夕鈔(しゅんせきしょう)』『無門関万安鈔(ばんなんしょう)』『無門関自雲鈔(じうんしょう)』『無門関西柏鈔(せいはくしょう)』などが有名である。
[永井政之]
『加藤咄堂著『無門関講義』(『碧巌録大講座 付録』1939・平凡社)』▽『朝比奈宗源著『無門関提唱』(1957・山喜房仏書林)』▽『平田高士著『禅の語録18 無門関』(1969・筑摩書房)』
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