焼火神社(読み)たくひじんじや

日本歴史地名大系 「焼火神社」の解説

焼火神社
たくひじんじや

[現在地名]西ノ島町美田

美田みたの標高四五一・七メートルの焼火山山頂近くに鎮座する。旧県社。祭神大日貴尊。中世には焼火山権現・焼火権現・焼火山雲上うんじよう寺などと称し、修験霊場であったとされる。焼火山縁起(隠州視聴合紀)では一〇世期末―一一世紀初めの創祀と伝えるが、古来隠岐地方の航海の安全を守護する神として大きな崇敬を集めてきたとされていることからすれば、山陰での日本海水運が本格的な成立をみる一一―一二世紀頃にその起点を求めるのが妥当であろう。当初は山そのものが信仰の対象(神体山)とされ、祭礼は主としてその山麓に位置する大津の大山おおつのおおやま社で行われていたと考えられる。修験などに用いる草庵などの施設はともかく、焼火山の山頂に多数の社殿僧坊が創建され、山上での宗教活動が本格的に展開するようになるのは、南北朝期に大山社が美多みた庄支配体制のなかに取込まれ、独自の機能を果しえなくなってからのことであろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

デジタル大辞泉プラス 「焼火神社」の解説

焼火神社

島根県隠岐郡西ノ島町にある神社。隠岐諸島、西ノ島の焼火(たくひ)山中腹に位置する。本殿、通殿、拝殿は国の重要文化財に指定されている。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の焼火神社の言及

【西ノ島[町]】より

…別府近くの黒木御所跡は後醍醐天皇配流時の行在所(あんざいしよ)跡と伝えられる。南部の焼火(たくひ)山(452m)中腹の焼火神社は海運業者の信仰が厚く,同神社所蔵の木舟〈トモド〉は国の重要民俗資料である。外海部と焼火山周辺は大山隠岐国立公園に属し,大絶壁と奇岩で知られる国賀(くにが)海岸は隠岐を代表する景勝地で,夏は観光客でにぎわう。…

※「焼火神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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