煮染(読み)にしめる

精選版 日本国語大辞典 「煮染」の意味・読み・例文・類語

に‐し・める【煮染】

〘他マ下一〙 にし・む 〘他マ下二〙
食物などをよく煮て、醤油(しょうゆ)などの汁をしみ込ませる。
慶長見聞集(1614)一「くらまの木のめづけと古記にほめられたるは、山椒の木の皮迄もはき取て煮しめ味ひ給ひぬ」
② (「にしめた」の形で) 醤油がしみ込んだようにうすよごれる。
滑稽本・古朽木(1780)四「煮(ニ)しめた袴のわる臭いは」

に‐しめ【煮染】

〘名〙 (古くは「にじめ」とも) 魚、肉、野菜などを味つけした汁で煮込み、多少汁気を残し、照(てり)をつけないで煮上げたもの。煮染物。
庭訓往来(1394‐1428頃)「菜者、繊蘿蔔、煑染牛房、昆布搗布荒布

に‐ぞめ【煮染】

〘名〙 草・花・樹皮などを煎じて、その熱汁で染めること。また、染めたもの。

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デジタル大辞泉 「煮染」の意味・読み・例文・類語

に‐ぞめ【煮染(め)】

草・花・樹皮などを煎じた熱い汁で染色すること。また、染めたもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「煮染」の意味・わかりやすい解説

煮染 (にしめ)

煮物一種サトイモ,ヤツガシラ,クワイ,たけのこ,ゴボウ,ニンジン,れんこん,シイタケダイコン,こんにゃく,焼豆腐などを濃いめの味に煮あげるもの。日もちがよく,正月の重詰などにも用いられる。古く《庭訓往来》や《下学集》にその名が見える。煮しめに近い煮物に煮つけがあるが,この両者相違は《江戸料理集》などによると,煮あげたあと汁気をきって器に盛るのが煮しめで,煮汁とともに盛るものを煮つけと呼んだようである。江戸後期には,煮しめは川を渡ると味が変わるといわれていたようで,〈重箱の煮染は橋で愚に返り〉〈大坂は煮染の味の変るとこ〉などの川柳がある。
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