熊山遺跡(読み)くまやまいせき

精選版 日本国語大辞典 「熊山遺跡」の意味・読み・例文・類語

くまやま‐いせき ‥ヰセキ【熊山遺跡】

岡山県赤磐市の熊山山頂にある奈良時代の石積遺構。一辺約一一メートルの方形基壇三壇に石づみを重ねたもの。五段組み合わせ式の須恵器(すえき)製筒形容器が発見されている。国史跡。熊山戒壇址(かいだんし)

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日本歴史地名大系 「熊山遺跡」の解説

熊山遺跡
くまやまいせき

[現在地名]熊山町奥吉原・千躰、瀬戸町弓削、備前市香登など

熊山町の南、備前市との境界に当たる地域の、熊山(五〇七・八メートル)山塊山頂付近一帯に散在する石積遺構。総数三〇基を超える遺構の分布は熊山町・瀬戸せと町から備前市内にわたる。遺構のうち、熊山神社境内にある最大で良好に保存されている一基は、国の史跡に指定されている。この遺構は、石積基壇の上に三段の石積みの段を築いたもので、中段には四方に龕を配しており、上段の内部に設けられた竪穴石室からは、陶製の筒形容器と奈良三彩小壺一点が出土した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「熊山遺跡」の解説

くまやまいせき【熊山遺跡】


岡山県赤磐市奥吉原にある仏教遺跡。標高507.8mの熊山山頂の平坦地に割り石を積み上げた、ピラミッドを思わせる石積み遺構である。岩盤上に1辺約11.4mの方形の基壇を築き、その上に3段の石積みを構築している。1段目は1辺の長さ約7.7m、高さ約1.18m、2段目は1辺の長さ約5.1m、高さ約1.26mで、3段目は1辺の長さ約3.55m、高さ約1mである。2段目にはそれぞれの側面中央に石龕(せきがん)がある。3段目の頂部中央には方形の竪穴(たてあな)が設けられていた。内部には、陶製筒形容器と奈良三彩小壺(さんさいこつぼ)が納められていたが、1937年(昭和12)に盗掘にあい、現在は陶製筒形容器だけが残っている。遺構は鑑真(がんじん)和尚によって開基された戒壇跡ともいわれているが、奈良市にある頭塔(ずとう)、堺市にある土塔(どとう)と同様の性格をもち、奈良時代における仏教的施設の遺構と推定されている。類例のない石積み遺構として、1956年(昭和31)に国の史跡に指定された。山陽自動車道山陽ICまたは和気ICから車で約1時間。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の熊山遺跡の言及

【熊山[町]】より

…山陽町に続く西部丘陵地帯には大規模な住宅団地が造成中で,岡山市のベッドタウンとして発展が見込まれている。熊山の頂上には割石を3段に積んだ熊山遺跡(史)がある。【上田 雅子】。…

※「熊山遺跡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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