燕石十種(読み)エンセキジッシュ

デジタル大辞泉 「燕石十種」の意味・読み・例文・類語

えんせきじっしゅ【燕石十種】

江戸後期の叢書そうしょ達磨屋活東子だるまやかつとうし岩本佐七)編。達磨屋五一補。文久3年(1863)成立江戸時代風俗関係の稀書60冊を、1集に10冊ずつ収録。明治40年(1907)3巻本刊。

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精選版 日本国語大辞典 「燕石十種」の意味・読み・例文・類語

えんせきじっしゅ【燕石十種】

  1. 江戸後期の随筆雑著集。六輯。達磨屋岩本)活東子編、達磨屋五一補助。文久元~三年(一八六一‐六三)成立。写本で伝わり、明治四〇年(一九〇七)刊。江戸時代の風俗、文学遊里奇事などに関する稀書六〇種を集めたもの。各冊に一〇種ずつ収めている。

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改訂新版 世界大百科事典 「燕石十種」の意味・わかりやすい解説

燕石十種 (えんせきじっしゅ)

江戸末期の叢書。岩本佐七(達磨屋活東子)編。養父岩本蛙麿(達磨屋五一)補助。1857年(安政4)から63年(文久3)にかけて6輯各10巻の計60冊があつめられた。江戸の風俗に関する随筆類で,《高尾考》《異本洞房語園》《吉原雑話》などの遊里関係や《猿楽伝記》《劇場新話》などの演劇関係が多くを占めるほか,珍編奇書を数多く収める。本集は,国書刊行会本によって流布したが,同会よりさらに《続燕石十種》《新燕石十種》が相次いで刊行された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「燕石十種」の意味・わかりやすい解説

燕石十種
えんせきじっしゅ

江戸末期の叢書(そうしょ)。達磨屋活東子(だるまやかっとうし)が養父花の屋蛙麿(あまろ)(達磨屋五一)の助けを得て編集したもの。1集10部、6集よりなるが、最初は10集、100部を予定したという。1863年(文久3)成立。「燕石」は玉に似た石、まがい物の意である。『高尾考』(吉原の名妓(めいぎ)高尾に関する諸家の考説)以下、江戸時代の興味深い風俗書を集大成したもので、当代の市民社会におけるできごとや世態人情を知るための、きわめて貴重な資料となっている。写本で伝えられたが、1907年(明治40)国書刊行会によって三巻本として刊行され、以後その続編として『続燕石十種』(2巻)、『新燕石十種』(5巻)が新たに編集、刊行された。

[宇田敏彦]

『『燕石十種(正・続・新)』全17巻(1979~82・中央公論社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「燕石十種」の意味・わかりやすい解説

燕石十種
えんせきじっしゅ

江戸時代の人情,地理,風俗などに関する俚俗珍書を収めた叢書6集。 10種1集の計 60種。岩本左七 (達磨屋活東子) 編,花廼屋蛙麿補佐。安政4 (1857) ~文久3 (63) 年刊行。燕石は「玉に似て玉に非ざる石」の意で,『荀子』にみえる「宋の愚人燕石を得,これを蔵して以て宝となす」の語により,編者みずから愚人にたとえて名づけたという。所収の『我衣』『塵塚談』『賤のをだ巻』『神代余波』『隣の疝気』などは江戸時代風俗史研究の好個の史料であり,『高尾考』『独寝』のような奇書の名にふさわしいものも多い。正編のほか,国書刊行会編になる『続燕石十種』『新燕石十種』もある。 1907年刊の『国書刊行会叢書』に収録。

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百科事典マイペディア 「燕石十種」の意味・わかりやすい解説

燕石十種【えんせきじっしゅ】

江戸末期の叢書。達磨屋活東子(だるまやかっとうし)(岩本佐七)編。1857年―1863年刊。江戸時代の地理風俗に関する珍書を集め,10部を1輯(しゅう)として6輯まで60部を収める。国書刊行会編の続・新・《燕石十種》がある。

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