(読み)クン

デジタル大辞泉 「燻」の意味・読み・例文・類語

くん【燻】[漢字項目]

[音]クン(呉)(漢) [訓]いぶる いぶす くすべる ふすべる
いぶす。「燻煙燻蒸燻製
[補説]「熏」は本字

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「燻」の意味・読み・例文・類語

いぶし【燻】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「いぶす(燻)」の連用形名詞化 )
  2. いぶすこと。物を焼いて煙を出すこと。また、いぶすのに用いるもの。
    1. [初出の実例]「古市・豊田たいまつに井ふしを用意」(出典:経覚私要鈔‐康正三年(1457)七月一一日)
  3. 硫黄を燃やして、金属器具に煤色(すすいろ)をつけること。
    1. [初出の実例]「翡翠の玉の附いた燻(イブ)しの釵とが目に附く」(出典:電車の窓(1910)〈森鴎外〉)
  4. ( 「かいぶし(蚊燻)」の略 ) 蚊遣火(かやりび)
    1. [初出の実例]「『ごうせいに蚊がいるな』『それだからいぶしをもって来た』」(出典:合巻・茶番狂言初子待(1815)中)

くすべ【燻】

  1. 〘 名詞 〙
  2. (か)などを防ぐ煙。ふすべ。
    1. [初出の実例]「蚊やりの燻(クス)べを背にして坐った」(出典:稲熱病(1939)〈岩倉政治〉七)
  3. くすべがわ(燻革)」の略。
    1. [初出の実例]「ほそきぱっちをはき、くすべの二枚うら付」(出典:洒落本・虚実情の夜桜(1800)宵の虚言)

ふすべ【燻】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ふすべる(燻)」の連用形の名詞化 ) ふすべること。
    1. [初出の実例]「ふすべ 〈略〉もと煙気をいひてそれより煙し責るをふすべといふ也けり」(出典:随筆・松屋筆記(1818‐45頃)六四)

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普及版 字通 「燻」の読み・字形・画数・意味


18画

[字音] クン
[字訓] ふすべる・くゆらす

[字形] 形声
声符は熏(くん)。燻は熏の形声字。熏は火煙の上出する形。

[訓義]
1. ふすべる、くゆらす。
2. 火気のさかんなさま。
3. 煙で息がつまる。

[古辞書の訓]
名義抄〕燻 カホル・サカリナリ・フスブ・タキモノ・ヤク・オキ 〔立〕燻 フスブ 〔字鏡集〕燻 フスブ・カホル・イヅルナリ・アツシ・ケブリノボルナリ・ニホフ・ヒノサカリナリ・サカリナリ語彙は熏字条参照。

[熟語]
燻衣燻赫燻穴燻香燻死燻耳・燻・燻製燻籠

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