爪掛(け)(読み)ツマガケ

世界大百科事典 第2版の解説

つまがけ【爪掛】

差歯下駄の爪先に掛けて雨水や泥はねを防ぐためのおおい。幕末の《守貞漫稿》に,文化(1804‐18)以前よりあるが絵に出てこないのでおそらく古いものではないであろう,また従来は男子のみ用いたが近年は男女共に用いる,と記されている。紙,革,布などに防水塗料を塗り,後歯にひもをかけて用いる。なめした革が多く用いられたのでツマカワ(爪皮)というが,下駄の先(向う)に掛けて用いるので,ハナカワ(端皮),ムコウガケ(向掛け)ともいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

爪掛
つまがけ

履き物の付属品。雨や雪でつまさきが汚れるのを防いだり、防寒のために履き物のつまさきに掛けて用いるもので、爪皮(つまかわ)ともよばれる。爪皮は元来は革製品であったが、現在では両者が混同して用いられている。爪掛には、草鞋(わらじ)用と下駄(げた)用とがある。前者は藁(わら)製品で「はなもじ」(飛騨(ひだ)、阿波(あわ))、「しぶからみ」(越後(えちご)塩沢)などといわれるものがある。後者は、かまぼこ形をしたものを下駄のつまさきに掛けて用いる。材料は皮革、油紙、木綿、セルロイドなどで、防水製につくられている。爪掛を留めるゴム紐(ひも)は1877年(明治10)大阪・日本橋堺(さかい)町下駄屋六門屋の新倉与兵衛の考案という。[遠藤 武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

つま‐がけ【爪掛】

〘名〙 (「つまかけ」とも)
① 下駄や足駄の先につけて、雨水や泥土などを防ぐ覆い。つまかわ。
※随筆・守貞漫稿(1837‐53)二七「今世三都ともに妻掛〈爪掛なるべし〉と云者あり」
② 雪国で用いる(わら)で作った雪ぐつ。
※破戒(1906)〈島崎藤村〉一六「みの帽子を冠り、蒲の脛穿を着け、爪掛(ツマカケ)を掛けた多くの労働者」
③ 足袋(たび)の前後に厚い底をつけ、土踏まずのあたりを除きあけたもの。江戸時代、大津近辺で作られ、旅行のとき、草鞋(わらじ)をはくのに用いられた。

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