他人の債務のために自分の財産の上に抵当権や質権を設定した者を〈物上保証人〉という。たとえば,Aから100万円借りたBの債務の弁済を担保するために,Cが自分の所有する不動産を抵当に供する場合などである。この場合Aは,Bが債務を弁済しないときは抵当権を実行してCの不動産から債権を回収することができる。物上保証人は,保証人と異なり自分で債務を負担するわけではないから,Cの不動産がたとえ80万円にしかならなくても,Cはそれ以上の責任を負うわけではない。しかしCは,その不動産だけのために,あたかもBの債務について保証をした保証人のような立場に立つことになる。そこで,物上保証人が担保権の実行によって担保に供した財産の所有権を失ったり,またこれを防ぐために債務者に代わって債務の弁済をしたようなときには,保証人の場合と同様に,債務者に対して求償することができる(民法351,372条)。
→保証
執筆者:内田 貴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
自己所有の財産を他人の債務の担保に提供する人。たとえば、乙の甲に対する債務を担保するために、丙が自分の土地に甲のために抵当権を設定する場合の丙を物上保証人という。保証人ということばが用いられるが、一般の保証人が債権者に対して債務を負うのに対して、物上保証人は債務を負うことはなく、債務者が債務を弁済しない場合に、担保の目的となった財産に対して担保権が実行されるのを認める責任を負うだけである。しかし、担保権を実行された物上保証人、あるいは実行されるのを免れるために自ら弁済した物上保証人は、実質的に保証人と同じ立場にたつので、保証人と同様に債務者に対する求償権が与えられるが、事前の求償権(民法460条)は認められない。
[高橋康之・野澤正充]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…しかし,債務者・債務引受人間の契約で債務引受けがなされたときは,債権者の同意または承諾がなければ,債務引受けは効力を生じない。また,他人の債務を担保するため物上(ぶつじよう)保証人や保証人が存在する場合には,これらの者の承諾がなければ,引き受けられた債務は担保されないこととなる。なお,債権者と債務引受人間の約定で債務引受けをなしうるかは,問題であるが,利益といえども本人の意思に反して押しつけることは妥当でないから,債務者の同意を要すると,解すべきである。…
※「物上保証人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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