債務者がその債務を履行しない場合に、これにかわってその責任を負う保証人の債務のこと。
借金による債務などの履行を担保する手段の一つとして保証が存在する。保証は債務の履行を確実にさせるものであり、普通の保証の場合には、債務者によって履行がなされないときに初めて保証人の責任が生ずることとなる。すなわち、債権者が債務者に請求せずに、いきなり保証人に対して請求してきたときは、保証人は、まず債務者に催告せよとの旨を主張でき、これを催告の抗弁権という(民法452条)。さらに、債権者が債務者に催告したあとでも、保証人が、債務者に弁済をなす資力があり、かつその執行が容易であること(たとえば債務者に預金とか株式とかがある場合)を証明したときは、債権者は、まず債務者の財産について執行しなければならない。これを検索の抗弁権という(同法453条)。もっとも、連帯保証の場合には、保証人にこのような抗弁権が認められておらず(同法454条)、債権者からいきなり請求されたときでも、債務者にかわって弁済しなければならないこととされている。
保証契約は、債権者と保証人との間でなされ、書面によらない契約は無効とされている(民法446条2項)。保証人の資格についてはとくに制限はないが、債務者が法律の規定または契約によって保証人をたてるべき義務を負う場合には、一定の制限が設けられている(同法450条・451条)。
債務者から頼まれて保証人となった者が弁済をなした場合には、その出捐(しゅつえん)の額、利息および避けることのできなかった費用その他の賠償を、債務者に対して請求することができる(民法459条2項・442条2項・650条)。一方、債務者から頼まれないで保証人となり、弁済をなしたときには、債務者は、受益の限度で償還すればよいこととされている(同法462条)。
なお、被用者が使用者に損害を与えた場合に、これを賠償する旨の使用者と保証人との間の契約(身元保証契約)は、将来生ずるかもしれない債務についての保証である。この身元保証契約については、身元保証人の責任があまり過度にならないようにするために、1933年(昭和8)に「身元保証ニ関スル法律」が制定されている。
[竹内俊雄]
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【民法】
保証債務または保証契約のこと。保証債務とは,債務者(主たる債務者)が債務を履行しない場合に,これに代わって履行しなければならない他の者(保証人)の従たる債務をいい,保証契約とはこのような場合の債権者と保証人との間の契約をいう。…
※「保証債務」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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