日本では、特殊教育は障害児(者)教育と同義に用いられてきた。
しかし、2006年(平成18)6月に学校教育法が改正されたのに伴って、2007年4月から、特殊教育を継承・発展させるものとして特別支援教育へと制度改正が行われた。したがって、現在では、これまでの特殊教育のことは、特別支援教育といわれる。
特殊教育の対象となった障害は、視覚障害(盲(もう)・弱視)、聴覚障害(聾(ろう)・難聴)、肢体不自由、知的障害、病弱・身体虚弱、言語障害、情緒障害、重度重複障害である。特別支援教育においては、これらの障害に加えてLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)や知的発達に遅れのない自閉症も対象にしている。
ところで、アメリカやヨーロッパなどでは、通常の範囲外にある児童を特殊教育の対象に考えているので、天才児、優秀児の教育も特殊教育のなかに含めている。この傾向はアメリカのほか、イギリス、オーストラリア、台湾などにもみられる。なお、以前は、非行少年の教育(矯正教育)を特殊教育のなかに含めたケースもあり、特殊教育の概説書のなかに非行関係が含まれていたことがあった。
[佐藤泰正]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
「障害者教育」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…心身に障害をもつ人びとにたいする教育の総称。児童・生徒に関しては,日本の場合学校教育法に規定されており,この教育を特殊教育special educationと呼んでいる(第6章)。以下,障害をもつ子どもにたいする教育を中心に述べる。…
※「特殊教育」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」