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犬神 いぬがみ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

犬神
いぬがみ

犬の霊がつくとされる憑依一種四国,中国,九州の諸地方で,特定の家もしくは個人に憑依し,その家や,人に仕えると信じられていた。形状はねずみ大,数は雌雄1対ともまた一族 75匹とも,地方により種々いわれる。いったん憑依すると,その家筋の子孫に伝わり,その家系は犬神筋と呼ばれて,婚姻はおろか交際さえも避けられるようになる。これは犬筋が婚姻により増加することが嫌われたこともあるが,それとともに犬神が,憑依した人の意をはかって他者に害を及ぼすと信じられたところから,迷惑がられ嫌悪されたものでもあった。犬神憑依の状態は犬のように吠え回るといった狂態で現れ,その治癒のためには呪者の祈祷よりほか術がないとされた。もともとは人間の邪悪な感情が動物霊として形象化したもので,起源的にはシャーマニズムに根ざすものと考えられる。

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デジタル大辞泉の解説

いぬ‐がみ【犬神】

俗信で、人にとり憑(つ)いて害をなすという動物霊。犬の霊とされる。中国・四国・九州の諸地方に伝わる。

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百科事典マイペディアの解説

犬神【いぬがみ】

四国,中国,九州に伝わる憑物(つきもの)の一つ。正体はネズミくらいの小動物とか犬の死霊といい,それがとりついている家筋は犬神憑,犬神持といわれ,この家と縁組した家も犬神憑になるとされた。

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デジタル大辞泉プラスの解説

犬神

日本の妖怪。犬霊の憑き物として西日本に広く伝承が残る。「犬外道」「インガメ」などともいう。

犬神

レベルファイブによるゲームソフト、またそこから派生したテレビアニメや玩具のシリーズ『妖怪ウォッチ』に登場する妖怪。フシギ族、サイズ220センチ。必殺技は「氷結地獄」。

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世界大百科事典 第2版の解説

いぬがみ【犬神】

四国を中心に,九州の東部,中国地方の西部などに分布するつきものの一種。これらの地域では,犬の霊を神としてまつる家筋(〈犬神筋〉〈犬神持ち〉〈犬神統〉などという)が存在し,その家の者は,自分が好ましくないと思う者に犬神を憑(つ)けて,病気や死に至らしめることができると信じられている。ひとたび犬神をまつると,末代までその家から離れることがなく,しかも縁組を通じて広がると信じられたので,犬神筋との婚姻はきらわれた。

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大辞林 第三版の解説

いぬがみ【犬神】

き物の一種。一般に、犬の霊とされ、人に憑いてさまざまな祟たたりをなすとされる。中国・四国・九州で多くいわれる。

いぬがみ【犬神】

長唄の一。本名題「恋罠奇掛合こいのわなてくだのかけあい」。二世杵屋きねや正次郎作曲。二世桜田治助作詞。1812年森田座初演。奪われた名玉を、栗生頼賢の妾に化けた娘狐が犬神使い長崎勘解由かげゆから取り返すという筋。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

犬神
いぬがみ

人間に依(よ)り憑(つ)くとされるイヌの霊で、キツネ憑きやタヌキ憑きなどと同種。中国、四国、九州地方に広く分布し、所により「いぬがめ」「いんがめ」「いりがみ」となまってよばれる。その正体はネズミぐらいに小さいとか、人により見える・見えないなど、ともかく実在のイヌとはほど遠い。これが人に憑くと、ひっくり返るような病症を呈したり、イヌのまねをしたりする。また、体のあちこちが痛んだり、心身にさまざまな病気を引き起こす。憑かれるのは女に多く、人間と家畜に憑く2種の犬神があるともいう。憑くのは犬神自身の働きではなく、これを操る「犬神使い」があるからとするのが通例である。そうした霊力をもつのは個人にとどまらず、その家族全員に及び、しかも子孫に継承されるといい、犬神持ち、犬神憑き、犬神筋(すじ)などとよばれる特定の家が存在した。また婚姻によって他家にまで伝えられると信じられ、嫁入りのときたんすの中に犬神を入れていくといった話もある。犬神はその家人にはきわめて忠実で、これを飼い、あるいは若宮、屋敷神に祀(まつ)れば富貴をもたらすが、飼い方、祀り方を誤るとたちまち零落するともいわれる。
 いったん憑かれて病気になると、医者では治らず祈祷師(きとうし)や行者(ぎょうじゃ)などに落としてもらうよりほかに方法はない。したがって「犬神持ち」は非常に恐れられ、嫌われて、その家とはもろもろの交際を避け、とくに通婚を忌む風潮が強かった。中世から近世にかけて阿波(あわ)の細川領、土佐の長宗我部(ちょうそがべ)領などでは、犬神対策に困り、関係者を極刑に処したこともあったが、効果はあがらなかったようである。なお起源については、古代中国に犬蠱(けんこ)とよんでイヌの霊を恐れる風があり、晋(しん)の干宝(かんぽう)の『捜神記(そうじんき)』にも載せられており、それが日本に伝来したとの説もある。また、イヌを土に埋め、首だけ出して食物を与えず、飢えが極まったときに殺したのを祀ったのが犬神だとか、弘法(こうぼう)大師のくれた「犬」の字の御札(おふだ)から犬神が広まったなど、各種の俗伝がある。[竹田 旦]

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世界大百科事典内の犬神の言及

【憑物】より

…このような家筋を形成する〈憑物〉には〈オサキ狐〉(関東),〈イヅナ(飯綱使い)〉(東北,中部),〈クダ狐〉(中部,東海),〈人狐(にんこ∥ひとぎつね)〉(山陰),〈トウビョウ〉(=蛇。中国,北四国),〈犬神(いぬがみ)〉(中国,四国,九州),〈ヤコ〉(=野狐。南九州)などがあり,トウビョウを除くほとんどが,〈憑物〉の形状をイタチ大かそれ以下のキツネもしくは犬のような動物として語っている。…

※「犬神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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