猛・武(読み)たけし

精選版 日本国語大辞典 「猛・武」の意味・読み・例文・類語

たけ・し【猛・武】

〘形ク〙
[一] 勢いが盛んで、強いさまである。
① 勇ましく、強い。勇猛である。たけだけしい。
書紀(720)神代下(兼方本訓)「天稚彦(あめわかひこ)是れ壮士(タケキひと)なり」
※竹取(9C末‐10C初)「たけく思ひつる宮つこまろも」
② 勢いが盛んである。猛烈である。はげしい。
※実方集(998頃)「かしかましひとよばかりのふしによりなにかは人のたけくうらむる」
平家(13C前)一「たけき者も遂には亡びぬ」
③ 堅固である。丈夫である。
落窪(10C後)二「いとたけかりつる輪、折れにけりや」
[二] 強いさま、まさっているさまなどからくる主観的な気持や判断をいう。
① 心強い。安心していられるさまである。
※宇津保(970‐999頃)楼上下「きしろひ難く思したるを、少したけく思すに」
② まさっている。格段によい。見上げたさまである。
※宇津保(970‐999頃)蔵開中「何かは、心づようきこえても、何のたけきことかは」
③ 強い精神力をもつさまである。心がしっかりしているさまである。気丈である。
※枕(10C終)一二五「人はたけくおもふらんかし、そら寝して知らぬ顔なるさまよ」
[語誌]「たけぶ(建)」「たける(猛)」の「たけ」と同根の語。中世以降語幹末音節がエ列音の形容詞が消滅し、この語も以後消滅の方向を辿る。畳語の形での強調形である「たけだけしい」は、中世から例が見える。
たけ‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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