宿世(読み)スクセ

精選版 日本国語大辞典の解説

しゅく‐せ【宿世】

〘名〙 仏語。
① 生死を重ねてきた過去世。前世。先の世。宿生(しゅくしょう)。すくせ。
※法華義疏(7C前)一「明宿世因縁広開三顕一、化下根人
※海道記(1223頃)蒲原より木瀬川「天上に生て後、宿世の恩を報ぜむとて」 〔無量寿経〕
② 前世の因縁。宿業。宿縁。宿命。すくせ。
※平家(13C前)一「男女のえんしゅくせ、今にはじめぬ事ぞかし」

すく‐せ【宿世】

〘名〙 (後世「すぐせ」とも) 仏語。
① 過去の世。さきの世。前世。しゅくせ。
※仮名草子・都風俗鑑(1681)二「すくせのえにしあれば、大夫さまともてはやされ」
② 前世からの因縁。宿縁。宿命。宿業。しゅくせ。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「わがすくせの逃れざりけるを」
[語誌](1)梵語 pūrva また atīta の漢訳語。三世の過去世をさす語で、①が本来の用法であるが、中古仮名文学では②の用法が中心である。一〇世紀中頃まで仏書以外にはほとんど用例がない。
(2)仮名表記「すくせ」は古代日本語の音韻的制約から、拗音シュを直音化したもの。他に「シウせ」〔教行信証・六〕の表記も見える。
(3)「すぐせ」は「すくせ」から転じて、「過去の世」という意識のもとにできた読みかといわれる。なお、和文の類はほとんど「すくせ」と表記されているが、「日葡辞書」「易林本節用集」などでは「しゅくせ」とよんでいるので、漢字で表記された例、仏典の例は「しゅくせ」に便宜上一括した。

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