猿払(読み)さるふつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「猿払」の意味・わかりやすい解説

猿払(村)
さるふつ

北海道北部、宗谷(そうや)総合振興局管内にある村。1924年(大正13)宗谷村(現、稚内(わっかない)市)から分村。オホーツク海に面し、海岸に沿って国道238号が通じる。海岸部の低湿地帯は東天北原野(ひがしてんぽくげんや)とよばれ、未開の原野にポロ沼などの湖沼が点在し、北オホーツク道立自然公園に指定されている。1971年(昭和46)以降ホタテガイ養殖が盛んで、酪農も伸長している。国有林と不在村大地積所有者の社有林が広い。1939年(昭和14)12月12日、浜鬼士別(はまおにしべつ)沖でソ連船インディギルカ号が座礁し、430人は救助されたが、約700人が死亡し、地元の警防団、青年団の人々が遺体収容にあたった。1971年に海沿いの公園に慰霊碑が建立され、毎年7月には慰霊祭が行われる。面積589.99平方キロメートル、人口2611(2020)。

岡本次郎


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改訂新版 世界大百科事典 「猿払」の意味・わかりやすい解説

猿払[村] (さるふつ)

北海道北部,宗谷支庁宗谷郡の村。人口2825(2010)。東はオホーツク海に面し,北西隣の稚内市に至る天北線転換バス(宗谷バス)が通じる。役場の所在する集落は北部の鬼志別(おにしべつ)。地名はアイヌ語で〈サ葦原)川の河口〉の意で,1878年宗谷郡6村設定の公示で〈猿払〉の文字が当てられた。1920年鬼志別まで鉄道が通じ(現在は廃線),24年宗谷村から分村,独立した。酪農,漁業,林業を主とし,近年酪農が伸長し,ホタテガイの養殖が盛んになった。国有林と村外所有者の大面積社有林が多い。海岸部の低湿地帯は東天北原野と呼ばれる広い未開の原野で,その一部は北オホーツク道立自然公園に指定されている。浜鬼志別には,39年沖合で遭難死者・行方不明702人)したソ連船インディギルカ号の慰霊碑がある。
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