猿羽根峠(読み)さばねとうげ

日本歴史地名大系 「猿羽根峠」の解説

猿羽根峠
さばねとうげ

猿羽根山の東方鞍部を越える羽州街道の峠で、標高は一七八・一メートル。新庄藩領と他領の境となり、境界には「従是北新庄領」の石碑が建てられたといい、現在は上半部を欠き新庄領とだけ彫られた境界石が残る。曲がりくねる峠道は七十七曲などとも称されて羽州街道の難所の一つに数えられ、とくに冬季、積雪時の通行は困難であった。文久二年(一八六二)三月の秋田様通行発駕延期願写(長井政太郎氏旧蔵文書)によれば猿羽根山で二、三丈、平地でも五、六尺の積雪があって、堰・川の区別もつかず、峠から約二里離れた荻袋おぎのふくろ(現尾花沢市)まで、江戸へ上る佐竹家一行の道筋を確保するためには約二千人の人足を要するとしている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「猿羽根峠」の意味・わかりやすい解説

猿羽根峠
さばねとうげ

山形県北東部、尾花沢市(おばなざわし)と最上(もがみ)郡舟形町(ふながたまち)との境にある峠。村山地方最上地方を分ける。標高143メートル。勾配(こうばい)が急で羽州街道の難所であった。1962年(昭和37)峠下に国道13号猿羽根トンネルが開通し難路も解消した。峠には古くから縁結び・子授かり・安産地蔵として信仰の厚い猿羽根地蔵尊が祀(まつ)られている。

中川 重]

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