王子製紙争議(読み)おうじせいしそうぎ

改訂新版 世界大百科事典 「王子製紙争議」の意味・わかりやすい解説

王子製紙争議 (おうじせいしそうぎ)

王子製紙における1958年の労働争議。王子製紙労組は総評傘下の紙パルプ労連の中核的組合であったが,その賃金引上げ要求に対して,58年2月,会社は稼働率向上のための連続12日操業を提案した。これに反対して組合は同年4月にストライキに入ったが,会社はロックアウトで対抗し,さらにユニオン・ショップ制を廃止する労働協約改定を申し入れた。組合は総評系の組合の支援を背景に長期闘争に入ったが,7月から組合脱退者が相次ぎ,8月には王子新労(王子製紙新労働組合)が結成されて組織分裂が表面化し,労働組合間の対立が深刻になった。結局12月9日に中労委裁定でユニオン・ショップ制の結論を留保したまま就労することになった。その後,会社側は第一組合幹部解雇,従業員採用に際しての同組合員の子弟の不採用などの圧力を加えたため,第一組合は組織人員を激減させて今日にいたっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「王子製紙争議」の意味・わかりやすい解説

王子製紙争議
おうじせいしそうぎ

1958年(昭和33)に王子製紙株式会社(従業員4500人)で発生、組合の分裂に発展した労働争議。いわゆる「なべ底景気」のなか、民間労働組合の弱体化をねらう政策と対立した代表的な争議。同年2月、組合は春闘に基づく2000円余の賃上げなどを要求したが、抗争の続く6月、会社は逆に労働協約の改定、なかでもユニオン・ショップ制の廃止などを提案したため、これに反発した組合は、総評、紙パルプ労連との共同闘争を確立し、7月18日から無期限ストに突入した。

 しかし、東京本社、苫小牧(とまこまい)、春日井(かすがい)両工場支部で次々に第二組合が結成され、両組合員、主婦が激突する対立が生じ、紙パルプ労連の組合員1万5000人が連帯スト、全道労協の組合員27万人が1時間の連帯職場大会などの大闘争に発展した。12月9日中央労働委員会の斡旋(あっせん)で解決し、第一組合は勝利を宣言したが、翌年会社は第一組合員の懲戒処分、役職剥奪(はくだつ)、争議中の組合幹部への辞職勧告、解雇、あるいは第一組合員子弟の採用ゼロなどの攻撃を加えたので、組合からの脱退者が続出し、第一組合は少数組合に転落した。

松尾 洋]

『王子闘争記録編纂委員会編『団結がんばろう』(1959・労働法律旬報社)』

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百科事典マイペディア 「王子製紙争議」の意味・わかりやすい解説

王子製紙争議【おうじせいしそうぎ】

王子製紙労働組合(苫小牧(とまこまい),春日井工場)の賃金要求に端を発した労働争議。組合側の賃金引上げ要求に対し,会社側が提案した稼働率向上のため連続12日操業の企業合理化の協約案をめぐって1958年7〜12月にわたり144日間の大争議となる。この間組合の分裂,官憲介入,第二組合員の工場出入自由の仮処分をめぐる衝突事件などがあり,中央労働委員会の斡旋(あっせん)により,組合側不利の状態で妥結した。

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