理非曲直(読み)リヒキョクチョク

デジタル大辞泉 「理非曲直」の意味・読み・例文・類語

りひ‐きょくちょく【理非曲直】

道理に合っていることと合っていないこと。不正なことと正しいこと。「理非曲直を正す」

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精選版 日本国語大辞典 「理非曲直」の意味・読み・例文・類語

りひ‐きょくちょく【理非曲直】

  1. 〘 名詞 〙 道理にかなったこととはずれたこと、および、不正なことと正しいこと。
    1. [初出の実例]「政府の方が〈略〉、元来携はるまじき人民一箇のことに携はりしなれば、その理非曲直は、さておき」(出典:自由之理(1872)〈中村正直訳〉四)

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四字熟語を知る辞典 「理非曲直」の解説

理非曲直

道理に合っていて正しいかどうか、ということ。

[使用例] 事の理非曲直はしばらく論ぜずして、ただ力の強弱のみを比較せざるべからず[福沢諭吉学問のすゝめ|1872~76]

[使用例] この事件では、ことの善悪・理非曲直を問わず、世の主婦たちは杉田久美を憎んでいる。彼女らは青野夫人の味方だ。ぼくはこういう世論を敵にまわしたくないね[小林信彦かみすい氏の華麗な冒険|1977]

[使用例] 御不快、はわびしょうもんなど「御不快な思いをさせて申し訳ない」といった形で、よく使われるが、つまり快くない思いをさせたことについて謝る、といっているのであり、事の理非曲直には言及していない[町田こう*正直じゃいけん|2006]

[解説] 「理非」は道理に合っていて正しいかどうか、「曲直」は曲がっているかどうかということです。「理非曲直を明らかにする」などと使います。
 中国語では「曲直」と言います。「是非」と「理非」は同じ意味です。ただ、日本語の「是非」には「ぜひお願いします」など別の用法もあるため、「理非曲直」のほうが好まれるのでしょう。
 物事の理非は明らかにするほうがいいはずです。ところが、日本人は昔から、政府を恐れ、政治の理非を明らかにしてこなかったと、福沢諭吉は[学問のすゝめ]の中で述べています。
 ではどうすればいいか。かりに暴力で政府に対抗したとしても、その結果は力の強弱によって決まり、理非曲直とは関係ないものになります。
 最良の方法は、自分たちの道理の正しさを政府にひたすら訴えることだと、福沢は言います。彼は道理に基づく言論の力を強く信じていました。

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