環境外交(読み)かんきょうがいこう

百科事典マイペディア 「環境外交」の意味・わかりやすい解説

環境外交【かんきょうがいこう】

1960年代末ごろ,地球環境問題が出現し,スウェーデン政府が北欧で激化するようになった酸性雨の防止対策を国際的に協議することを中心的な課題として国連人間環境会議を首都ストックホルムで開催するよう国連に提唱し,誘致に成功したことに始まる。同会議後,設立された国連環境計画による各種の地球環境保全対策や,1992年6月,リオ・デ・ジャネイロで開催された国連環境開発会議へ向けての各種条約,宣言案づくり,環境問題をめぐる国際機関と各国政府との間の協議,主要先進国首脳会議における環境問題の協議,各国政府間相互の折衝も,環境外交である。日本の環境外交の大きな成果として,1982年にナイロビで開かれた国連環境会議で日本政府代表の提案した国連環境特別委員会の設置案が〈環境と開発に関する世界委員会〉となって実現したことが挙げられる。1987年4月,同委員会の審議結果をまとめた報告書《われら共有の未来》の中に〈豊かで,安全な将来を実現するためには,すべての国々が持続可能な発展を最優先目標とすることが必要である〉という趣旨概念が盛り込まれ,その後の地球環境保全対策を進めるさいのキーワードとなった。しかし,1997年の,温室効果ガス削減に関する京都議定書は172の締結国を得たものの,最大の二酸化炭素排出国米国離脱。日本も削減目標の達成は絶望的である。温室効果ガスの削減については21世紀の地球環境問題の中心課題として世界的な意識の高まりが見られるが,米国,欧州,日本をはじめとする先進工業国と中国インドなど工業化による高度経済成長を続ける途上国との間で削減目標値の設定をめぐって,大きな意見の違いが存在し,環境外交は枠組み作りもふくめて,複雑困難なものとなっている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「環境外交」の意味・わかりやすい解説

環境外交
かんきょうがいこう

地球の温暖化や酸性雨,海洋汚染,フロンなどから地球環境を保護しようという各国の外交努力を指す。 1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故,80年代末の米ソ対立の構図の消滅は,世界各国の指導者が一国の利益を超えた共通の問題に目を向けさせることになった。 89年にヘルシンキで開かれた国際会議で,各国は西暦 2000年までのフロン全廃に合意している。

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