田籍(読み)デンセキ

デジタル大辞泉 「田籍」の意味・読み・例文・類語

でん‐せき【田籍】

律令制で、口分田の受給戸主姓名および町段歩を記した土地台帳班田の終わるごとに作成された。でんじゃく。

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精選版 日本国語大辞典 「田籍」の意味・読み・例文・類語

でん‐せき【田籍】

  1. 〘 名詞 〙 令制で、班田の終わるごとに作成した戸主の姓名と口分(くぶん)。田令口分田条により町段などを記した土地台帳。田記。田文(たぶみ)。でんしゃく。
    1. [初出の実例]「今検田籍、海辺百姓、遠陸置口分、寺田交潮」(出典:東南院文書‐天平神護三年(767)二月二八日・民部省牒案)

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改訂新版 世界大百科事典 「田籍」の意味・わかりやすい解説

田籍 (でんせき)

日本古代の班田収授に際し,班給すべき口分田をあらかじめ郷戸ごとにまとめて記した帳簿。田文(たぶみ)ともいう。戸主の姓名につづいてその戸口の口分田が,一筆ごとに条里制による表示によって,面積とともに記されていたのではないかと推定されている。班田の終了後は,民部省に送られ,田図と同様永久保存される定めであった。班田制衰退とともにその意義はしだいに失われ,820年(弘仁11)以降は,畿内では四証年(天平14年(742)・天平勝宝7歳(755)・宝亀4年(773)・延暦5年(786))のものを除き次の班田以後の田籍は廃棄されることになり,また七道諸国では田籍の京進を中止し,田図のみ進上することになった。

 現在,田籍の遺品と目されるものは伝えられていないが,後の大田文名寄帳淵源をなすものとして注目されるべきであろう。
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