男衾三郎絵詞(読み)オブスマサブロウエコトバ

精選版 日本国語大辞典 「男衾三郎絵詞」の意味・読み・例文・類語

おぶすまさぶろうえことばをぶすまサブラウヱことば【男衾三郎絵詞】

  1. 絵巻物。一巻。鎌倉後期の作で作者は未詳。武蔵吉見二郎、男衾三郎の兄弟らを描いたもの。地方武士の生活題材とした点が珍しい。絵は温雅大和絵の一典型をなす。

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改訂新版 世界大百科事典 「男衾三郎絵詞」の意味・わかりやすい解説

男衾三郎絵詞 (おぶすまさぶろうえことば)

鎌倉時代,13世紀末ころの絵巻。後半を欠く1巻が現存するのみで全体の構成はわからないが,観音の霊験譚としてまとめられた恋愛物の一種であったと想定される。物語は,武蔵国で都ぶりの生活を送る吉見二郎と,あえて醜女をめとって武芸のみに生きる男衾三郎という地方武士の兄弟の対比から始まる。観音の申し子である吉見の美しい娘(おそらく主人公)は,父の死後許婚とも引き離され,男衾のもとで虐待される。その後の物語展開は不明。絵には独特の強い筆癖があり,人物の容貌にも誇張がみられるが,随所に描き込まれた四季の風物によって,画面は趣豊かなものとなっている。画風から《伊勢新名所歌合絵巻》と同じ絵師の手になると思われ,鎌倉時代における絵画制作の状況を考えるうえで興味深い。他の物語絵巻に比べ,地方武士の生活を題材としている点で珍しく,史料としても貴重である。
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