異形細胞(読み)いけいさいぼう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「異形細胞」の意味・わかりやすい解説

異形細胞
いけいさいぼう

植物組織なかに通常孤立して存在し、形、大きさ、含有物などほかの細胞と著しく異なり特殊化した細胞。タンニンを含むタンニン細胞や、シュウ酸カルシウムなどの結晶を含む結晶細胞がこれである。またツバキの葉肉(ようにく)やヒツジグサ葉柄の柔組織内に散在し、細胞壁が数か所で異常に長く突き出て星形あるいは不規則な形になった一種厚壁細胞も異形細胞という。また異形細胞がいくつか集まっている場合には異形組織という。

[相馬研吾]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「異形細胞」の意味・わかりやすい解説

異形細胞
いけいさいぼう
heterocyst

異質細胞ともいう。藍藻類ネンジュモやヒゲモなどで糸状に連なった細胞中に混って存在する。形が異なり無色透明な特殊な細胞。この細胞の位置と形とは分類上の基準にされる。この細胞は体細胞から変質して形成される。かつて生殖細胞母体として形成されたが,その意味を失ったものであろうと解されている。

異形細胞
いけいさいぼう
idioblast

異常細胞,巨細胞ともいう。一般に組織内で周囲と著しく異なる細胞をいう。不規則に分枝したもの (ヤマグルマ) ,炭酸カルシウムを沈積したもの (ハス) ,硬い石細胞 (ナシの果肉) など各種ある。

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