百科全書序論(読み)ひゃっかぜんしょじょろん(英語表記)Discours préliminaires de l'Encyclopédie フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ)「百科全書序論」の解説

百科全書序論
ひゃっかぜんしょじょろん
Discours préliminaires de l'Encyclopédie フランス語

『百科全書』全体の序文として、1751年ダランベールによって執筆された。ボルテールがデカルトの『方法序説』に勝ると称賛したように、哲学的にも重要な思想を含む。本書は『百科全書』のもつ二重の目的、第一に「人間の知識の順序と連関」を明らかにすること、第二にさまざまな学問と技術との基礎的諸原理、およびそれらの内容をなす「もっとも本質的な細目を含む」こと、に対応して二部に分かたれる。

 第一部では「学問と技術との生成史的順序」つまり感覚による直接的知識からいかにしてさまざまな反省的知識が生ずるかが説明される。この知識発生論はコンディヤックの心理学的分析とは異なって、「哲学的歴史」とよばれているように、哲学的精神からみて諸観念はいかなる合理的進歩をたどるべきであったか、という同時に歴史的で論理的な分析による。ついで「百科全書的な順序」に従って諸学が分類される。この諸学の分類はほぼベーコンの分類を踏襲しているが、しかし歴史についてはボルテールの説を受け入れて、「学芸の歴史」と「政治史」とを区別し、また哲学についてはとくに「自然の学」が数学的自然学と実験的自然学とに大きく二分されている。第2部は人間精神の進歩の膨大な一覧表であり、知識が実際に生じてきた「歴史的順序」が解明される。

[坂井昭宏]

『佐々木康之訳『世界の名著29 ダランベール他集 百科全書序説』(1970・中央公論社)』『ディドロ、ダランベール編、桑原武夫訳編『百科全書――序論および代表項目』(岩波文庫)』『桑原武夫編『フランス百科全書の研究 1751―1780』(1954・岩波書店)』『F・ヴェントゥーリ著、大津真作訳『百科全書の起源』(1979・法政大学出版局)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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