家庭医学館 「皮膚良性腫瘍」の解説
ひふりょうせいしゅよう【皮膚良性腫瘍 (Skin Benign Tumor)】
皮膚腫瘍とは、皮膚を構成するさまざまの細胞のうちの1つが異常に増殖したものです。徐々に大きくなる固まりやしこりを感じて気づくことが多く、良性腫瘍と悪性腫瘍とがあります。
良性腫瘍は、悪性腫瘍(「皮膚がんのいろいろと自己発見法」)のように腫瘍細胞が無秩序に増殖するのではなく、ある部位だけで増えるものですから、周囲の皮膚組織との境が比較的はっきりしているのが特徴です。
悪性腫瘍は、周囲の皮膚組織を破壊しながら広がっていくため、境がはっきりせず、また最初に生じた部位から離れたところに新しくしこりができたりします。これを転移(てんい)といいますが、良性腫瘍では転移はありません。
●皮膚良性腫瘍の種類
皮膚は、その表面をおおっている表皮、汗や毛や皮脂をつくる汗腺(かんせん) ・毛包(もうほう) ・脂腺(しせん)、さらに表皮と筋肉・骨との間を埋めている線維性(せんいせい)細胞組織である真皮(しんぴ)と脂肪組織からなっています(「皮膚のしくみとはたらき」)。
これらの組織を構成する細胞に生じる代表的な皮膚良性腫瘍には、表皮に生じる老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)、汗腺に生じる汗管腫(かんかんしゅ)、毛包に生じる毛母腫(もうぼしゅ)、真皮の線維性組織に生じるケロイドや皮膚線維腫(ひふせんいしゅ)、脂肪組織に生じる脂肪腫(しぼうしゅ)などがあります。これらの皮膚良性腫瘍は、いずれも生命に危険なものではありません。