中国,府州県の地方官ならびに諸政を監察する官庁の総称。監司という用語は2世紀後半の後漢時代にあらわれるが,御史や刺史など弾劾,監察を行う官署の呼称として一般化するのは西晋(265-316)以後である。それがもっとも広く使用されたのは10世紀から13世紀の宋代においてであった。宋は府州県の上に監督区分として15ないし23の路を設け,その長官を監司と呼んだ。具体的には,主として人事・財政を担当する転運司,警察・司法の提点刑獄,軍事関係の安撫司,特殊財務を取り扱う提挙常平司の四者があり,それぞれ,漕司,憲司,帥司,倉司の別名を持った。この四者は一路内の異なった府州に治所を置き,職務内容も必ずしも明確には区分されていなかった。義務責任の明らかな行政官というより,全体として一路の行政を監察運用するところにその特色があった。元代以後,省が最高の行政区画となり,布政使,按察使,さらに総督,巡撫が置かれると監司の名は消える。
執筆者:梅原 郁
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…末端の県の官吏は,五代のとき軍閥に籠絡されて,そのなすがままになっていたので,ここでも中央の官員を知県に任命し,政府が直接に県政を掌握することにした。一方,州の上には路という監督区分を設けて,転運司(漕),提点刑獄司(憲),経略安撫司(帥)を置き,それぞれ一路の財政,司法,軍事をつかさどり,のちに提挙常平茶塩公事(倉)を置き,総称して監司といった。路の数ははじめ15であったが,のちに23に増え,北宋末期には26路になった。…
※「監司」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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