改訂新版 世界大百科事典 「監視労働」の意味・わかりやすい解説
監視労働 (かんしろうどう)
1960年代以降の製鉄所,化学工場,石油精製所などに普及した現代の工業労働の代表的な一類型。オートメーション装置の自動制御にもとづく機能を,その安定した稼働にむけて補完する労働である。制御室での計器の監視,〈正常値〉の範囲内への計器の調整,装置各パートのパトロール点検,操業状態の記録,そして,まれに生じかねない緊急異常事態への対処などが,職務の具体的な内容をなす。監視労働は,コンベヤ職場などにみる〈流れ作業〉にくらべれば確かに,より多様な動作からなり,より断続的,より自律的な作業ペースで行われている。しかし,その平常時の業務は,その遂行に知的な判断力があまり要求されないという意味では,やはり一種の〈単調労働〉ということができよう。なお監視労働の勤務形態は,多くの場合,24時間操業下の〈三直四交替制〉である。
執筆者:熊沢 誠
労基法上の監視・断続的労働
労働基準法41条は,一定部署で監視するのを本来の業務とし,身体・精神の緊張が少ないもの(監視労働。守衛,メーター監視,水路番等)と,手待時間が多くて実作業時間が少ないもの(断続的労働。修繕係,寄宿舎の賄人等)については,使用者が労働基準監督署長の許可を受けると,労働時間・休憩・休日に関する法定制限の適用が排除されるものとしている。なお,いうまでもないが,前節の監視労働の概念と労基法でいうそれとは一致するものではない。
執筆者:編集部
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報