盤領(読み)アゲクビ

デジタル大辞泉 「盤領」の意味・読み・例文・類語

あげ‐くび【盤領/上×頸】

ほうあおのような盤領まるえり形式頸上くびかみのひもを懸け合わせてとめる。→垂領たりくび

ばん‐りょう〔‐リヤウ〕【盤領】

ほうあおなどの襟を、下前したまえから上前にかけてまるく仕立てる様式。あげくび。円領えんりょう。まるえり

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精選版 日本国語大辞典 「盤領」の意味・読み・例文・類語

ばん‐りょう‥リャウ【盤領】

  1. 〘 名詞 〙(ほう)・襖(あお)などの胡服系のえりを下前から上前にかけてまるく仕立てる様式名。まるえり。方領(ほうりょう)に対していう。〔随筆安斎随筆(1783頃)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「盤領」の意味・わかりやすい解説

盤領
あげくび

衣服の襟の形式の一種。いわゆる詰め襟で、首の回りを囲む丸首式のもの。古墳時代の人物埴輪(はにわ)の衣服にもみられる。また、奈良時代のイラン系の唐風衣服で、袍(ほう)や襖(あお)といわれる上着や、それらが平安時代に和様化した束帯(そくたい)や衣冠などの上着である袍や直衣(のうし)、狩衣(かりぎぬ)、水干(すいかん)、褐衣(かちえ)、退紅(たいこう)、白張(はくちょう)などは盤領式である。なお盤領に対して、襟が斜め、または垂直に垂れた形式のものを垂領(たりくび)とよんでいる。概して上着系統のものに盤領、内着や下着系統の衣服に垂領が用いられた。

[高田倭男]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「盤領」の意味・わかりやすい解説

盤領
あげくび

上頸とも書く。日本服飾史用語で,丸い襟のこと。首に沿って襟を上げて着ることからこう呼ばれた。垂領 (たりくび) の対語。6世紀の人物埴輪に多くみられるが,遺物としては正倉院宝物 (ほう) がある。男子装束の袍はほとんどこの系統に属する。

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世界大百科事典(旧版)内の盤領の言及

【襟∥衿】より

…古代中国では首のまわりを領,胸前を襟または衽,これを結び合わせる紐を衿というように,文字を使い分けた。日本の衣服は襟ぐりの形によって,丸首型を盤領(あげくび),交差型を垂領(たりくび)と称したが,中国や朝鮮ではさらに細かく分けて,曲領,直領,円領,団領,交領,対領などの区別がある。垂領の襟はV字状に交差させ打ち合わせるが,自分からみて左の衽(おくみ)を右の上に重ねる着方を右衽(うじん)(右前ともいう。…

※「盤領」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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